ずっとずっとこの時を待ち焦がれていた
何の取り柄もないのに、オメガなのに
あなたは僕の中身を見つめてくれた
考えられない、夢にまで見た光景
瞳は大好きなあなたでいっぱい
一つ一つの声が言葉が行動が
僕を幸せで満たしてくれる
もういいよ、待たなくて
早く、早く欲しいから
あなたにだけ見せる
何も無い、白い項
あなただけの証
ここに刻んで
漂い続ける
甘い香り
彼へ、
綴る
愛
紡ぐ
彼へ、
誘惑する
フェロモン
ここに刻んだ
愛しい彼への証
残る、紅色の花弁
彼のことを見つめる
永遠に大切にするから
もういいんだ、安心して
俺も幸せで満たされている
一つ一つの声が表情が仕草が
頭は深愛なる彼自身でたくさん
やっと叶った、夢にまで見た光景
絶対に離さない、離してなるものか
隣で寝ている、幸福で満ち溢れた寝顔
これからどんな物語を描くか楽しみだな
〜(別のお題失礼します)〜
あたしは、ずっと望んでた。
この街が幸せで満ち溢れること!
たくさんの人が、声が、笑顔が行き交って
ものすごい活気で
カラフルに染め上げるの
でも、
あたしは、ずっと知ってた。
そんなこと、叶わないってこと!
たくさんの人が、罵声が、涙が行き交って
悲しみと苦しみで
汚ったなく染め上げるの
あたしは、今日も見ている。
この街の行く末を
遥か遠く、誰の手も届かないところで
〜街〜
そんな言葉、聞きたくない
「ごめんね」なんて、聞きたくない
私のプリン食べたから、
皿洗いとか洗濯とか面倒臭いから、
他の女と一緒にいたから
「ごめんね」、そんなんじゃ済まない
最後なんて、
特に。
……でも、私も私
こんな奴に惚れたんだから
こんなろくでもない。
だから、
「ありがとう」の一言くらい、いいじゃない
〜「ごめんね」〜
どこまでも澄み渡る青に、キラキラ輝く太陽。今日は絶好のお散歩日和! ということで僕たちは家族で近くの公園まで遊びに来ていた。休日ということもあり、子連れの親子がたくさんいる。僕たちはお昼ご飯も兼ねて、空いているベンチに座って、今朝作ったおにぎりを食べ始めた。
「今日晴れて良かったな」
「うん、そうだね。特に肌寒くもないし、ちょうどいい天気だよね」
「んっ! まぁま、このおにぎり、おいちぃ」
僕の膝の上に座っている愛おしい我が子は、嬉しそうに足をバタバタさせた。そしてまたもう一口、もう一口と少しずつ食べ進めては、美味しそうに顔を綻ばせる。僕たち二人はその様子を見て、思わず笑ってしまった。しばらくしてご飯を食べ終わり、談笑していると、息子が何かを発見したように指を指した。
「ぱぁぱ、まぁま! にゃんにゃんいるぅ」
「ん……? あ、ほんとだね」
公園の端の方に立っている大樹。その下に丸くなっている猫がいた。息子は目を輝かせて、キャッキャとはしゃぎ出した。そして「みたい、みたい!」と興味津々に何度も繰り返した。僕と彼は顔を見合わせて頷き、猫を刺激しない程度まで近づき屈んだ。近くで見てみると、毛並みが綺麗に整っているのが分かる。それから、すやすやと気持ちよさように寝ていた。僕は小声で我が子に話しかける。
「……ねこさん、ねんねしてるね」
「うんっ、ねんねしてる……しーするっ。あっちであそぶ〜」
人差し指を口元へ持っていき、もう一度静かにしーっと声を出した後、小さな手で、ばいばいと手を振った。そしてくるりと後ろを向いてよちよちと向こうへ歩き出した。僕たちも追いかけようとした時、ピクリと黒猫の体が動いたのに気づく。ゆらりとしっぽをひと振りし、ゆっくりと体を起こした。くしくしと顔を擦ったあと、軽やかに鳴き声を上げた。
「わ、ねこさん、起きたよー……って、もう二人とも向こうの原っぱの方行ってるのか」
子供が地面に生えている草花を見て手を叩き、彼は穏やかな顔つきでそれを見つめていた。それを見て自分も微笑ましくなる。僕もそっちへ向かおうと立ち上がった。だが意外にも怖がっていないのか、僕の足元に猫が擦り寄ってきた。遊んでほしそうに、構ってほしそうに甘えた声で鳴いてくる。金色の瞳が一直線に僕のことを見上げて、脚に尻尾までゆるく巻き付けてくる。何だか謎に惹き込まれる感じがして、その姿から思い浮かぶのは、彼としてる時――って! なんてことを考えているんだ僕は! 思い切り頭を振り、改めてこの子に向き合った。少し戸惑いつつも、再びしゃがみこみ、ゆったりと微笑んだ。
「僕でよかったら、一緒に遊ぼっか」
それからほんの一時、僕はこの黒猫と戯れていた。ねこじゃらしを使ったり、木陰から出て日向ぼっこをしたり。何だかんだで僕も一緒に楽しんでいると、急に猫は僕の横を通り過ぎて行った。軽快にステップを踏むような足取りで。
「あ、あれ? どこに行くの?」
呼んでも足は止まらない。僕はそのあとを付いていくように歩みを進める。案内された場所は二人がいる原っぱ。息子はどこかソワソワしている様子で手を後ろに組んでいる。一方で彼は優しい眼差しで見守っている。僕は不思議に思って二人を交互に見つめていると、彼がひょいっと子供を抱きかかえて、「ほら」と小さく囁いた。その瞬間、ちらりと手から覗かせたもの。それは。
「……まぁま! いつも、ありがとっ! だいちゅきっ!」
子供の温かな言葉と共に渡されたのは、シロツメクサの花冠と、控えめなたんぽぽの花束だった。驚きと感動のあまり呆気にとられていると、今度は彼が僕の頬にキスしてきた。先程の驚きと感動に、羞恥心がプラスされる。色んな感情が混ざり、一気に顔が火照っていくのを感じる。
「へっ……!? ちょ、なにっ……!?」
「ふふ、サプライズ成功だな」
「やったぁー!」
二人は嬉しそうに笑い、息子に至っては手を鳴らして大はしゃぎしていた。僕は未だに状況を飲み込めないでいると、彼は楽しそうに話し始めた。
「俺がここに咲いてる花見せてた時にさ、『まぁまにこれ、プレゼントしたい』って、熱心に言ってたんだよ。この花束は子供から、冠は俺からだよ。全ての花を厳選したのはこの子。ちょうど猫と戯れていたから……サプライズってことで、日頃の感謝の意味も込めて、な?」
「きゃは! まぁまにも、ぱぁぱにもちゅー!」
息子が元気よくそう言うと、彼は反対側に回り、逆頬の方にキスさせた。どくん、どくんと心臓が跳ね上がる。自分の心が幸せで満たされていくのを感じる。ポカポカと体の奥底がふんわりと温かくなってくる。僕も伝えたい。言葉にして。
――こちらこそありがとう。これからも、よろしくね。
〜(別のお題です)/オメガバース〜
得体の知れない甘酸っぱい果実
口に入れたら酷いくらい甘くて
噛むと苦味と酸味が襲いかかる
喉元過ぎても嫌な味は漂ってる
そんな一日があった
得体の知れない感情は少しして崩れ去った
たくさんお話して目で追うまでは甘かった
だけど君には大切な人がいるって分かった
突如重い苦味と強烈な酸味が僕を苦しめる
そんな時もあった
でも今は、
毎日が満ち足りるくらい幸せなんだ――!!
とろトロに蕩けきった君の甘美なる顔
そこに苦ミも酸ミも全クない
骨の髄まで愛してアイシテ愛情をたっぷり注いで
「相思相愛」、ハッピーエンド
……って、ことにしておいてくれ。
~初恋の日~