些細なことでも、何か一通メッセージが欲しい。
「今帰るよ」とか、「今日は残業で遅くなるよ」とか。
でもあなたはずっと無言。
私が家で待っている間、何の音沙汰もない。
私、心配しちゃうから。
不安になるから。
危ない目に遭ってないかって。
だから……ねぇ、お願い。
面倒くさいかもしれないけど、伝えて欲しい。
あなたに笑顔で「おかえりなさい」って伝えたいから。
〜些細なことでも〜
黄金色に輝く向日葵。
ただそれだけが私の心の灯火。
これはいつまでも枯れない。
私がずっと水と肥料と愛情を注いであげるから。
そして、お日様の下で一緒に日向ぼっこもしている。
大丈夫、私がそばにいるから。
あの人のように、勝手にいなくなるなんて、
私、許さないから。
絶対に絶対にぜーったいにユルサナイカラ。
〜心の灯火〜
ツィーと画面上をなぞる指先。
とあるアイコンでピタリと止まった。
自分はこのアイコンを押せないでいる。
いや、指は普通に動くんだ。
ほら、他のアプリならちゃんと押せる。
好きなゲームなら速攻だよね。
でもこれだけは……なんだか押せない。
謝罪文と、それに添えられた申し訳程度のスタンプ。
やっぱり、対面で謝るべきだったかなぁー……
〜開けないLINE〜
羨ましかった。
完璧な君が。
僕なんか、凡人中の凡人なのに。
取り柄なんて、なんも見つからないよ。
だから、羨ましかった。
みんなから囲まれる君が。
……だから、僕は君を――
〜不完全な僕〜
シトラス。
フローラル。
オリエンタル。
私が惑わしてきた香り。
私を惑わしてきた香り。
「あなたと一緒がいいから、私も買ってみたの」
「○○のために、自分もこの香水を買ったんだ」
そこに愛情なんてない。
全てはお金目当て。
そんな目的をもくらませる、刺激的な香りがもっと欲しかった。
私だけを見つめてくれるような香りが、本当は欲しかった。
〜香水〜