昔のこと、とあるふたつの国があった。
裕福な国の神様は、国民たちに向けてこう言った。
「裕福なお前たちには、もっともっと富を与えよう。それで、貧しい者たちを必ず救ってやるのだ」
貧乏な国の神様は、国民たちに向けてこう言った。
「貧乏なお前たちには、もっともっと貧を与えよう。それで、裕福な者たちからお恵みを分けてもらうのだ」
両国民はそれぞれ、神のお告げに従うことにした。
全くもってその通りにした。
それからこのふたつの国はどうなったのでしょうか――
後はご想像にお任せします。
〜神様が舞い降りてきて、こう言った。〜
私は喜んで命を差し出すだろう。
誰かが、私の命を使って生き延びてくれるのなら、
それほど嬉しいことはない。
私はあなたの中で生きる。
存在意義を失った体は切り分けるかポイされて、
……あ、でも、
自分の心臓がだめなら、
あなたの中でも生きられないじゃないか。
〜誰かのためになるならば〜
誰か私をここから出して。
解放させて欲しいの。
もう家とか学校とかどうでもいい。
囚われるのは、縛られるのはもう懲り懲り。
全部全部「あなたのため」って言うけど、本当はそんなんじゃないって分かってる。
いいよ、そんな高いお金を支払ってまで家庭教師雇ったり、塾に通わせたりしなくても。
私の道は私自身が切り開く。
だから、少しくらい私に自由をちょうだいよ。
〜鳥かご〜
「なぁ、今日も一緒に帰ろうぜ!」
彼の言っているその言葉は、きっと友情だけのもの。
「……うん、いいよ」
僕の気持ちは一生彼に分かって貰えない気がする。
(男が男を好きになるなんて、気持ち悪いよね……)
「ん?どうした?俯いてさ。ほら、顔上げろよ!」
彼の言われた通りに顔を上げると、そこには眩しいくらい輝いている笑顔を見せる愛おしい人がいた。
伝えるべきだろうか。
君が好きなんだって。
友情なんかじゃ収まりきらないくらい、大好きだってこと。
〜友情〜
君の持っている花は咲いて、
僕の持っている花は散る。
これは全部君の為。
可憐で可愛い君を愛している故の行為。
沢山貢物を献上して、
彼女が行きたい所へ連れて行ってあげる。
少しでも振り向いてもらいたいから。
それが一生叶わない事だと分かっていても。
〜花咲いて〜