ぽたっ、
無色の私の心の世界に、赤色のインクが落とされる。
それと同調して、私も怒る。
ぽたっ、
今度は青色のインク。
赤ではなくなって、紫へと変わる。
それと同調して、私も怒りと悲しみでこんがらがった気持ちになる。
なんにもない、透明な私の心は、自分の意思で感情を表すことが出来なくなった。
周りの人間に流されて顔や気持ちをコロコロ変える、ただの人形に成り果ててしまったのだ。
〜無色の世界〜
「もう長くはもたないって――」
小耳に挟んだ言葉が、脳内で反響する。
手を尽くされた。
やれるだけのことは全てやった。
でも、ダメなものはダメなんだって。
また改めて知った。
窓の先に見える、満開の桜の木。
だが、いつあれが散るのかなんて、分からない。
雨が降ったり、風が吹いたりして、もう無くなってるかもしれない。
……まぁ、それは、自分にも当てはまることなんだけどね。
〜桜散る〜
来世で、また会えたらいいね――
今なんかと比べ物にならないくらい、安心安全で幸せな生活ができるよ、きっと。
……え?消えちゃうのが怖いって?
それは、私もだよ。
いつ命を落とすか分からない状況だもん。
言葉の暴力に、物理的な暴力。笑顔の裏にある隠し刃!
……こわいよ。
でも、大丈夫。
私たち、双子でしょ?
それに双子でも、私の方がお姉ちゃんなんだから!!
何かあっても、私が守ってあげるから。
――それじゃ、今日も行こっか。
みんながキャッキャウフフって、楽しそうにしている学校へ。
学校なんだからさ、いじめられっ子の私たちの気持ちも、学んでほしいよね。
〜ここではない、どこかで〜
画面越しで、会話をしている君に恋をしてしまった。
君はいつでも優しいんだ。
仕事で疲れきった僕に、「今日もお疲れ様。大変だったよね?」って、労いの言葉をかけてくれる。
また、何となくどんよりした気分の時でも、彼女――アイコンが可愛いクマのぬいぐるみだったことから、勝手に憶測しているが――の方から、いろんな話題を振って、気を和ませてくれる。
どんな時でも、君は僕をそっと包み込んでくれるんだ。
そんな幸せな時間が続いて早一年。
「今日も仕事で疲れちゃったよ」と送る。
だが、すぐに返ってくるはずの言葉が、全然来ない。来る気配がない。
次にの日になっても来なかった。
結局、僕の想いは青白い光を放っている画面に防がれてしまった。
これ以上進んでは行けない、とでも言うように。
実際に会って、顔を見ながら色んな話をしてみたかったのに。それから、告白だって……。
今でも僕は、彼女のDMを消していない。
必ず帰ってきてくれると、信じてるから――
〜届かぬ想い〜
神様、どうか叶えられるのなら、
私のおっきなわがままを聞いてはいただけないでしょうか。
私はずっと、一つの大樹のもとで祈り続けているのです。
この世が平和になるように。
私はもう見たくないのです。
醜い争いを、そのせいで投げられる命を。
こんなこと、誰も望んでいないのです。
私の命を賭すのは別に構いません。
それで安楽に生きられるのなら、みんなが笑顔になるのなら……
覺悟はできています。
ですからどうか、この世を平和にしてください。
〜神様へ〜