あんな根暗女なんか好きじゃないのに。
なんでこんなやつが、席隣なんだよ。
男友達がいたら最高だったのによ。
入学早々、最悪だわ。
好きじゃないのに。
ボソボソしてる喋り方とか、
ずっと下向いて何かひたすら呟いてたり、
授業中のペア活動も、俺と目を合わせないで話したり。
だからずっと一人で、お先真っ暗なんだよ。
……好きじゃ、ないのに。
髪の隙間から覗く綺麗な瞳とか、
不意に見せる笑顔とか、
俺が忘れ物してきた時、優しくしてくれるとか、
まじ意味分かんねぇ。
何なんだよアイツ。
――嫌いじゃないのに。
あれ、いつの間に俺……アイツのこと……
〜好きじゃないのに〜
今日の僕の心は雨模様。
だって、自分の嫌いな教科のテストがあるし、
給食ジャンケン負けるし、
教室の雑巾がけでは滑って転ぶし。
……でも、
放課後、僕はずっと気になっていた女の子に告白した。
返事は――OKだった!
なんと両思い!!
僕の心は一気に晴れた。
もうさっきの嫌なことは全部吹き飛ぶくらい。
そう言えば、今朝の天気は……
「――ところにより雨です」なんて言ってたっけ。
ある意味、真逆(?)な出来事が今日、起こったなぁ。
〜ところにより雨〜
――二人いればできないことなんてない。
いや、こう言える存在が私にも本当に欲しい。
……改めて思ったけど、特別って何なんだろうな。
なんて考えながら、打っている今。
凡人な私が考えたところで、答えなんて出てくるわけないのにねー。
〜特別な存在〜
俺さ、お前のことが初めて好きになった人で良かったって思ってる。
お互い、両思いだって分かった時は、すんごいはしゃいだっけ。
それから色々あって、一緒にバカみたいに笑って、バカみたいに泣いて。
それでも、お前と色んな思い出作れて、サイコーだった。
ありがとう、そして、これからもよろしく。
〜バカみたい〜
「キョウカラコノセカイハ、オマエトワタシ、フタリダケニナッタ」
「……はぁ?」
俺は呆れて、その一言に尽きた。しかもなんなんだこのロボットは。メッキが剥がれて、ボロボロ。目は片方だけ黄色く光っていて、ところどころバネやらネジやら飛び出てて、不格好である。なのに、『オマエ』とか……。初対面に向かってそれはないだろう。こんな奴に言われたくもない。
「おい、初めての人に向かってその態度はないだろ」
「オマエトワタシ、ハジメテジャナイ」
「……何言ってんだか。こんなオンボロボット、見た時がない。俺は急いでるんだ。早く会社に行かないと」
「ダカラ、モウコノセカイハ、ワタシタチシカイナインダッテ」
そう言って、俺の腕を掴んできた。瞬時に払い除けようとしたが、以外にも強い力である。振り回して、そのままどこかへ飛んでいって、部屋のものを壊したら大変だ。仕方なく、諦めることにした。
「ソレ二、オマエトハ、ショウガクセイノコロ二アッタ。アノ、ゴミステバデ」
ゴミ捨て場……?
思わず眉をひそめる。
「オマエ、イッテタ。『ガッコウデイジメラレテテ、ツライ』ッテ。『ニタモノドウシダ』ッテ」
「っ……!」
「『オレトオマエダケ、フタリノセカイダッタライイナ』トモイッテイタ」
「な……に、言っ、て……」
額から冷や汗が流れ出る。……小学校?いじめ??蓋をしていた記憶が、どんどん開かれていく。しまいには、黄色く光っている目が不気味に見えて、ここから逃げ出したいと思うほどだった。
「……ヨカッタネ、ワタシタチヤット」
――フタリボッチダネ。
〜二人ぼっち〜