世の中は、たくさんの不条理で満ちている。
でもそれは、運命なんだから仕方ないと受け入れるしかない。
……果たして、それで解決していいのだろうか?
と言っても、根本的な解決策は見出せていないから、これ以上口出しはできないけど。
〜不条理〜
「泣かないで。何度言ったら分かるの?本当に役立たず」
その言葉、何度かけられたことか。
「泣いていいんだよ。気が済むまでいっぱい泣いてもいい。ずっとそばにいるからね」
その言葉、何度かけられたいと思ったことか。
悪い人ばっかりいるから泣くんだ。
いい人だらけなら、泣かないよ。
〜泣かないよ〜
私、あの鳥が怖い。
だって、すっごく鋭い目つきしているんだもん。
まるで射殺すんじゃないかってくらいに。
私、あの肉食動物も怖い。
だって、すっごく強くて食べ方もワイルドなんだもん。
まるで噛み殺すんじゃないかってくらいに。
私、あの人も怖い。
だって、平気な顔して酷くいじめてくるんだもん。
まるで人間じゃないと思っているくらいに。
私、この世界が怖い。
だって、日々絶えず戦争が起きているんだもん。
小さなものから大きなものまで。
怖いよ、怖いよ……
私の居場所はどこにもないよ……
〜怖がり〜
あ、この子は将来、パティシエールになりたいのね。
こっちは消防士……
この願いは……家族みんながずっと笑顔でいられるように、か。
あらら、これは願い事が上手く言えなかった感じか。でも、すごく綺麗に輝いている。きっと、良い願いごとをしようとしていたのかな。
一つ一つの流れ星に、みんなの願いがギュッと込められている。強い輝きを解き放っている。たくさんの星が溢れる――その願い事が叶えられればいいな。
〜星が溢れる〜
広大なお花畑。
どこからか吹いてくるやわらかい風。
一面真っ青な空。
みんなを照らす日光。
その中に、たった一人、ぽつんと立っている。
色とりどりに咲き誇っている花々は、
たくさんの瞳を持っているようなものだ。
一輪一輪に見蕩れ、
やがて取り込まれ、
私に安らぎを与える。
――今日は……にもってこいの日、舞台。
人生に疲れた私は、たくさんの安らかな瞳に囲まれ、
この風景に合うような鳥に今、なる。
〜安らかな瞳〜