何かが落ちる音がした
それは悲しいものでも恵みと呼ばれるものでもないようだ
ただ、清らかで美しい
________
気づかれないくらいに小さくて、でも確かにあったもの。
触れた時には、もう形がなくて。
残っているのはかすかな冷たさと、消えかけの気配だけ。
留まることを選ばなかったからこそ、
その透明さは守られていた。
光に触れたときだけ、ほんの一瞬だけ輝いて。
そのあと、何もなかったかのように消えていく。
覚えているのはあの輝きだけでいい。
形も、名前も、残らなくていい。
ただ、確かにそこにあったと、
そう思えるなら
___それでいい。
もう大丈夫だよ、〈君〉からいっぱいもらったから
そういった〈君〉の姿は芯があって、
でも触れたら消えてしまいそうだ。
…何が大丈夫、だ。
〈君〉の癖がよく出ているというのに…
そんな姿を見ていると__の方が泣きそうになる
××××年、新年が始まった。
〈君〉と行く初詣もこれで最後。
だから、少しくらいサービスしたって構わないだろう。
だから、ちゃんと願いを聞いてくれないかな…。
なんて、傲慢だろうか
何も願わなくなってからもう何年も経った。
願うのはこれで最後。
神様の存在も、今年くらいは信じてもいいだろう。
丁寧に、お辞儀をして
ゆっくり手を合わせた。
こんにちは、聞こえてますか?
はじめまして。いもしない神様へ。
16年と11ヶ月生きてきました。2日後には17歳になります。
しかし、あと数ヶ月で終わるようです。
だから最後くらい神頼みをしてみようと思いました。
一つ、__がいなくなった世界でも〈君〉がずっと笑っていられますように。
もう一つは____。
願いを終えて、目を開いた。
隣には、まだ目を閉じて願う〈君〉がいた。
 ̄ ̄ ̄
ついに、か…。
自分でもわかる。もうそろそろだと。
〈君〉と過ごしたこれまではいつも楽しかった。
叶うことなら、これからも過ごしていきたかった…
窓の外には風に揺られて舞う桜。
〈君〉と出会ったあの日のように
暖かい日差しと桜の風景が見える。
ふと、机に置いてある〈君〉のノートが目に映った。
手にとって見てみると、これまで過ごしてきた__との日常と、
……〈君〉についての秘密や、想いが綴られていた。
初めて知ったことも多くあった。
〈君〉の気持ちをちゃんと知れていなかった。
…〈君〉は自分も同じなのに、普通のフリをして
__を支えてくれていた。
最後のページには、__や〈君〉の家族に宛てた手紙があった。
その手紙にも目を通して、端に
「__も好きだよ」
と、書いてペンを置いた。
 ̄ ̄ ̄
気持ちがいい。
だんだん眠たくなってきた。
これで眠ればもう二度と目を覚さないだろう。
隣で眠る〈君〉の横で、自分も横になった。
髪を、頬を、手を、唇を。
〈君〉がいつも__にしてたこと。
仕返しだよ、いつものね…。
やられてばかりじゃないんだから。
「ふふっ…。ねぇ__ 」
「大好きだよ、__のことが。もう、一緒にいられないけど
寂しくはないよ。__が隣にいてくれるからね」
__の手を握り締めた。
もう抗うことのできない眠気に身を任せ、瞼を落とす。
一筋の涙が頬を伝った。
それが、最後に感じた熱だった。
かつてないほどあった満開の桜。
枝にあるのは、あと…
風が吹けば、それで終わる。
「ねえ、〈君〉」
隣にいる〈君〉は、いつも通りそこにいるのに、
どこか遠くにいるみたいだった。
「もうすぐだね」
〈君〉は、少しだけ間をおいて頷く。
「……うん」
それだけで、十分だった。
風が吹く。
花びらが、ひとつ落ちる。
胸の奥が、少しだけ軽くなる。
またひとつ。
今度は、息が少し浅くなる。
気づかないふりをしていたものが、
ゆっくりと輪郭を持ちはじめる。
「これさ」
__が言いかけると、〈君〉が先に口を開いた。
「桜と一緒だね」
その声は、驚くほど穏やかで。
「散るたびに、少しずつ終わってる」
否定できなかった。
風が、また強く吹く。
花びらが舞い上がって、視界が白くなる。
その中で、〈君〉の輪郭が少しだけ揺れる。
「ねえ」
__は、そっと手を伸ばした。
今さら壊れることなんて、もう怖くなかった。
どうせ同じ終わりに向かっているなら。
指先が触れる。
まだ、温かい。
「最後まで、一緒に…隣にいるから」
〈君〉は、ほんの少し驚いた顔をして、
それから、やわらかく笑った。
「うん」
その笑顔を、ちゃんと覚えておこうと思った。
たとえ、そのあと全部がなくなっても。
あと一枚か、二枚。
数えようとして、やめた。
終わりを数えるのは、やっぱり怖かった。
「ねえ、〈君〉」
呼びかける。
でも、返事はなかった。
隣を見る。
そこには、もう誰もいない。
ただ、さっきまで確かにあった温もりだけが、
手の中に残っている気がした。
最後の一枚が、静かに落ちる。
その瞬間、世界の色に変化があった。
音がやわらいで、色がにじむ。
それでも、完全には消えない。
視線の先に、小さな川があった。
散った桜が、水面を流れている。
途切れながら、でも確かに続いていく、淡い帯みたいに。
__は、それをしばらく見ていた。
さっきまでここにあったものが、
形を変えて、遠くへ運ばれていく。
「……ああ」
ふと、言葉がこぼれる。
「桜流しだ」
声に出した途端、少しだけ腑に落ちた。
終わったわけじゃない。
消えたわけでもない。
ただ——
ここにあった春が、
静かにどこかへ流れていくだけだ。
風が吹く。
水面が揺れる。
その中に、ほんの一瞬だけ、
〈君〉の笑った気配が混ざった気がした。
__は、何も言わなかった。
ただ、流れていく桜を、最後まで見ていた。
心臓も、気持ちも、全部ハートと言える
__のHeartはどこだろう
迷い、諦め、環境など真っ直ぐにはいられない
そんな時も必ずどこかである
そんな人生をテーマにした話。
__の生き方は自分で決めるし、
責任も自分にある
他人にとやかく言われても、
決めるのは自分だ
でも周りの人の意見に流される、
もしくは流されそうになることもたくさんある
こうしている今も他人の意見に
流されているかもしれない
それに気づけることもあれば、できないこともある
「浮ついている」という言葉を知っているだろうか
個人によって解釈は変わるかもしれないが、
__は心が、気持ちが浮ついている、と
表現していると思う
つまり、気持ちという物体が地面などから
離れている状態を指していると考えた
進路など自分の将来を考える時どうするべきか
悩むのは当たり前だと思う
相談したり、経験談から学んだり、
やりたいことから考えるなど人それぞれ手段がある
やりたいことがあるならそれに向かって進めばいい
〈君〉が望む未来に行けるのはただ1人、〈君〉だけだ。
自分が描いた未来が簡単なものでなくて、
しんどいことがたくさんあって、
逃げ出したくなって、
そんなことが何十回、何百回、何千回とあるでしょう
楽しいと、胸を張って過去の自分に言えるように、
これからを頑張ってください