愛をそそいで
愛をそそぐとは、いったいどういう行為だと、言うのだろうか私は、甚だ理解出来ない。それは、人として欠落しているからだろうか。
友人に対する愚痴を聞く度に、それならいっそ会わなければ良いのにと言うと、そうではないのだと言われ、
兄や母が、普段煩わしいと言う父の事を嫌だと言いながらも面倒を見る姿を理解出来ず、たかだか家族と言うだけで、何故そこまで甘く接するのか理解出来ず、私は、いつも冷めた目で見るばかりで、どうにも人の気持ちと言うのが理解出来ない人間だと実感するのです。
何がそんなに楽しいのか、何か相手を怒らせたのか。分からない。声が聞こえる。笑い声。罵りの声。
何かを失敗してしまった今日。
細心の注意を払って接したつもりだったのに。
目の動き、声のトーン、手の仕草。
今、この人は、苛ついている。緊張している。何かを隠している。私との時間が鬱陶しいのかもしれない。早くこの場を、切り上げなければ、今のは、踏み込まれたくなかったのかもしれない、違う話をしなければ。
いつも何か、でずっと疲れている。
他人の気持ちが分からない者に、他者に愛を注ぐ事が出来るだろうか。人が怖い。それでも人と関わりたい。人を愛して、そそいでみたい。
何でもないふり。
前フリ、後フリ。
仲間。
仲間由紀恵は、美人なり。
部屋の片隅
部室は、校舎の一番奥。
屋内にも関わらず、いつもひんやりとした空気がする。
のんちゃんが遠くを見るような目をして言う。
片方の手首に切り傷がいっぱいの人だね、と。
隅には、切れたお札があるだけじゃないか。
にわかに信じ難い言葉だね。
行方さんだけは、動揺してる様だけど。
くだらない事言って、気を引きたい子だってのにね。
なんで、気づかないのだってさ。
逆さま。
やる事なす事がいつも理想と逆のこと。
こんなはずじゃないんだと、タラレバ言っても仕方無いのにね。
真っ逆さまに落ちていく様を見る。
DESIREとか。まさか、そんな、
なんてね、言えない。