産まれた瞬間
私達は皆無垢であり皆透明で不安定な器を持っている
成長する過程で様々な人や環境によりそれは色付き始め、だんだんと定まってくるようになる
自分と同じ色や形の器を持つ人はおらず
それぞれが特別である
完全なる器になる時は死ぬ時であり
生きているうちは形が定まってくるとはいえ
どんなものにでもなれる
好きになった相手の器が透明に近いものであった時
私は自分の色で染め上げたいと思う
今まで出会ってきた人達で色付かなかった部分を
私色で埋めつくしたい
そうすればきっとあの人は自分のものだけになる、と
たまに自分を見て性格悪いかななんて考えてしまうけれど、やっぱり私でいっぱいになって欲しいなんで我儘かな
ずっとこう考えていたけれどいつの間にか染められてたのは私の方だったみたいだね
街中で空を見上げる
晴れていても星は見えない
実家は田舎の方で夜は星の光が輝いて見えたのに
都市部は田舎よりも街は明るく車の音も人の声もする
人を感じるはずなのに
孤独を感じてしまうのは何故だろう
耳をすますと聞こえてくる虫や鳥の鳴き声
風で揺れる葉の音
1人を感じるのにどこか来る安心感
久しぶりに故郷に帰ろうか
私を眺めてくれた星たちの姿を見に
今願いが1つ叶うのなら私は何を願うだろうか
ずっと過去に戻りたいと思っているけれど
それは本当に叶えたい願いなのかと聞かれると戸惑う
高校の頃に戻りたいと願って高校生になった時
多分私は中学の頃に戻りたいと思うだろう
中学の頃に戻りたいと願って中学生になった時
多分私は小学の頃に戻りたいと思うだろう
過去は良いように解釈し美化する
辛かった思い出さえも美化する
それはきっと今の生活が幸せだからなのか、それとも今の生活が不幸せだからこそ過去を美化し縋るのか
あの時のテストでいい点を取りたかった
もっと勉強しておけばよかった
好きな人に告白しておけばよかった
あの頃の方が幸せだった
過去に戻りたい理由は人それぞれ違うだろうが
私は今出会ってきた人と違う人と出会った時、どう未来が変わるのか見てみたいと思った
良い方向と悪い方向どう転ぶのか
今過去に戻ったら
きっと未来は変わる
言葉一つで運命は変わる
もし多数ある運命のひとつを掴んできた今いる世界が1番最高なものだったら、過去に戻ったら最悪な世界にしか進まない
そう思うとなかなか過去に戻りたいとは願えない
私の願いは一つだけ
大事な人の願いが叶いますように
嗚呼、結局私は袖を濡らしてしまうのね
枕を濡らすあの人のように
こうも悩んでしまうのは私の悪い性なのかしら
貴方と白いダリアを見たいなんて我儘ね
雑木林の奥地
学校にあるあまり使われない教室
家の中の机の下
友達と私だけの秘密の場所
私だけしか知らない特別な場所
誰にも教えたくない1人でいられる場所
その場所に呼べる人はいつか来るのかしら
いつか現れるといいな