[意味がないこと]
僕の場合、の話である。
想像上の生き物や架空の人物の物語を書く。
その意味、とは?
そりゃあ、その物語を読むこどもたちには、感情豊かになってほしいし、
考えることが楽しいって思ってくれたら嬉しい。
でも、そんなもの背負って僕は物語を書けない。
僕の書きたい物語は書けない。
ただ思うものを、思い浮かんだ世界を書きたいだけ。
それだけなんだ。
だから、今日も僕は意味もなく物語を考える。
考えながら生きていく。
[あなたとわたし]
偶然、わたしの作る話を読んでくれたあなたへ。
ありがとう。
誰かに読まれて初めて、作品として命を持てるから。
わたしの話が生きるために、
出会えたのが、あなたでよかった。
[柔らかい雨]
どうしてこうも、思うようにいかないのだろう。
大きな失敗のあとの夜は、
土砂降りの雨に打たれるのが定番だろう?
なんで、こんなに柔らかくて、優しい雨なんだ。
なんで、僕を泣かせてくるんだ。
この雨じゃ、泣いていることがまわりにバレてしまうじゃないか。
ちくしょう、
ちくしょう、、
[一筋の光]
光を意識するとき。
それは、自分が暗い中にいるときだ。
もうだめだと、自分を投げ出したくなる、そんなときだ。
手に触れることも
それをどうすることもできないのに、
どうして、
こんなにも縋りたくなるのだろう。
どうして、
きっと……って希望を抱きたくなるのだろう。
[哀愁をそそる]
あ、
少し動いた拍子に、テーブルの隅に腕が当たってしまった。
パラ……
トン……
コッコッ……
置いていたハガキや小銭が、全部落ちてしまった。
ジーンとくる痛みに、覚えがある。
まだ、君がこの家にいたころ、
「また、そんなところに置いて……」
物をあちこちに置いてしまう僕を、君は毎日のように注意してた。
おまけにドジだから、よく角に体をぶつけてしまって、痛いし散らかるし、散々な目にあっていた。
「ほら、言わんこっちゃない」
呆れながらも、君は痛みが引くまでそばにいてくれたっけ。
相変わらず、またドジやってるよ。
注意してくれよ。
呆れながらも、そばにいてくれよ。
その場にかがんで、落ちたものを拾いながら、僕は寂しさを集めていた。