11/3/2024, 4:49:57 AM
眠りにつく前に
小さい頃、子ども向けの百科事典をよく読んでいた。数々のものが書かれている中で1番心惹かれたのは、今なお宇宙を漂っているボイジャー1号だった。
私が生まれるより遥か昔に生み出されたそれは、人類が到達したことのない場所の写真やデータを地球に向かって送り続けている。いつか会うかもしれない宇宙人へ聴かせるためのゴールデンレコードを携えながら。
眠る前、たまにボイジャーのことを考える。探査機だから感情がないことは重々承知しているが、もし心があったら何を考えているかなと思いを馳せる。
宇宙に散りばめられた無数の点の一つになった地球のことを想うことはあるのだろうか。最遠から地球の写真を撮った時に何を考えたのだろうか。宇宙人に会えたとしたらどう思うのだろう。
そういうことを考え続けていると、いつのまにか夢の世界へ旅立っている。ボイジャーが今の孤独な旅をいつか終えることを願って。
11/1/2024, 1:01:51 AM
<理想郷>
もし理想郷というものが実際にあるとしたら、私はその存在を他の人に教えるだろうか。
多分教えないと思う。その場所を自分のものだけにしたいと思い、徹底的に隠し続けるだろう。
だから私みたいな人間の前には理想郷は現れない。理想郷というものは、この世に存在する全ての愛おしい人々が住まうべき場所。私ができることは愛する人たちがそこに行くことだけだ。そうやって思い続けていくことで、秘匿しようという思いは長い年月をかけてきっと消えていく。