君と一緒に過ごしたこの数時間
もっと君と一緒に
もっと君のぬくもりを感じていたかった
きっと思い出とは美しいものだから
君との思い出を抱きしめて
僕は少しずつ歩き出す
君と一緒に
寒い
とにかく寒い
とにかく寒いのは知っている
ここから出たら即、凍える空気に晒され
血管は収縮し、夢見心地はたちまち枯れて
現実と向き合わなければならなくなる
だから、僕は出ない
下は8㎝、上は10㎝
8㎝×10㎝×120㎝×210㎝と枕
この隙間だけが
僕の最後の砦
絶対に出ない
今日こそはここから出ない
もう決めた
絶対に何があってもここから出ない
嫌だ嫌だ
絶対に、今日こそはここから出ない
と、決めていたのに
やっぱり出ないといけないらしい
意を決して布団をめくる
本能が押さえつけるのを
なんとか剥がして上半身を立ち上げる
靄がかった頭で
カーテンから漏れる陽を睨みつけ
憎さ満点で勢いよく、開ける
一晩中、これでもかと冷却された大地は空気を締め
切り取られた僕の窓は
静かに薄く重なる光の筋と
突き抜ける青空を
まざまざと見せつけてくれた
冬晴れ
幸せとは金である
金が全て
なぜなら金があれば全てを手に入れる事ができるのだ
では全てとは何か
全てとは世界
では世界の全て手に入れたら幸せになれるのか
と言われるとそうでもない気がしてきた
そうか、欲しいものだけを全て金で手に入れればよいのだ
ではまず金をどうやって手にいれよう
欲しいものを全て手に入れるなら、かなり必要になる
金は仕事をしたら得られるから
てことは、めちゃくちゃ働かなくてはならないじゃないか
朝も夜も寝る間も惜しんで金を稼げば欲しい物を全て手に入れられるわけだ
でも、そんなにめちゃくちゃ働くのは嫌だな
なんか体を壊しそうだし
なるほどつまり、金を稼ぐにも使うにも体が大事なのか
じゃあ、体を壊さない程度に金を稼ぐしかないか
なら欲しいものは少し削るしかないな
でもどうやって削ろう
優先順位、まず物の価値を知らなきゃならない
どうしよう、世界を知らないと物の価値がわからないじゃないか
一気には無理だから少しずつ世界を知るしかないか
それなら働いて金を稼ぎつつ休みをとりながら世界を知り、欲しい物を少しずつ手に入れよう
なるほど、これが幸せか
あれ?でも待てよ
じゃあ働けず世界を知らず欲しい物を手に入れられない人は幸せじゃないのか?
バカボンのパパは
働いてないし世間知らずであまり欲しい物がないように見える
でも、なんか幸せそうだよな
んー、どこかで間違った
どこで間違った
またはじめから
またはじめから
幸せとは
こっち側のおよそ半分は暗闇で
漆黒をいいことに
溜まっていた熱量を宇宙へ押し出そうとする
黙っていたはずの月と星達が
我が物顔で空を占領する
冷えた地の種は萎え
凍りつく海で魚は眠り
私は山に登る
あっち側の半分は光で照らされているはず
頂きの上に立ち
その境目を感じよう
山稜に切り取られ
影をなくした光線は
レーザービームで地表を焦がし
海を沸騰させ
雲を白く
空を真っ赤に
境目に立っていた私は
またこれが闇に沈むことなど
すっかり忘れ
熱く燃えさかるそのエネルギィに
心を奪われてしまう
酸素が充分に行き渡ったんだろう
空は青く燃えはじめた
今日もまた夜が明けた
日の出
今年の抱負は?
と、こっちに尋ねてくるヤツはすでにいい感じの抱負を用意しているヤツである
せっかく用意していた抱負を話したいけど、誰も尋ねてこないから、一旦こっちに話しを振る戦略だ
振られた方がお茶を濁すとすかさず、自分の抱負をペラペラと語り出すのである
そういうヤツの抱負は大体、中身の薄い聞いたことあるような内容である
今年の、と断定した割に結果についても別に1年かけてまで追求する必要がない様なもので、掲げた本人も春を迎える頃には忘れているのだ
抱負を持つのは素晴らしいことだけど
そんなもんは大事に胸にしまっとけよ、と思うのである
今年の抱負