歳を重ねるとなんとなく世の中というものが見えてくるもんで
ああ、あれはこういうことだったんだね、とか気づくところが増えてくるお年頃
世の中というのはこういう構成でこういう考え方の人の割合がこれくらいいるから、結果こういう発信をしているのか、とか
そんなレベルで、なんとなく見えてくる
不倫がどうだとか、政治がどうだとか
でもそれは別に私の生活に何か直接的な影響があるわけでもなくて
だからそれがどうした、と言う私もいたりして
来年は楽器が上手くなりたい
来年は英語を話せるようになりたい
生きる、ということはつまり
自分がやりたいことを純粋にやるだけなんだと、
思ったりする私がいたりなんかして
1年を振り返る
この趣味を他人に話すと
変わってるね、とよく言われる
でも、
でもさ
なんなら昆虫採集の方がヤバくないか、と言い返したくなったこともあったけど
やめといた
私は道に落ちている、てぶくろの収集家
空き地とか道端に落ちているてぶくろを集めて額に飾る
それが私のアイデンティティ
てぶくろ
絶対におかしい、と言い切れるほどの時間が経過した
月明かりとヘッドライトの先に横断する車はなく
ひたすらウィンカーの音だけが車内に響く
いつまで待っても変わらない信号だけが私の左折を拒んでいる
変わらないものはない
毎年、杞憂であった
ケーキだのチキンだのレストランだの
プレゼントだの結ばれただの
サンタクロースは我が家のドアをスルーして
恋人同士に寄り添うのだから
私は暗黒を纏いし
黄金騎士である
今宵、また降りかかる孤独を蹴散らす為に
馬に跨がり荒野を駆け巡るのである
クリスマスの過ごし方
東京ドーム280個分、だそうだ
その広大な敷地に集められた段ボールの数、約1,400万個
今年は7名である
毎年、高い報酬で募集をかける
業務の性質上、秘匿性が絶対条件になる
「年末に稼ぎたいあなたに朗報、絶対に秘密を守れる方限定、子供の夢を叶えられる職場、和気あいあいとした明るい雰囲気です」
今年はその募集が仇になった
どうやら闇バイトと思われたのである
大体、例年であれば40,000人から50,000人集まる
22:00-28:00までの6時間勤務で一人頭平均300個程度
時間個数だと1時間50個、大体兄弟がいるので件数で換算すると25件/h
かなりキツいが子供達の夢を壊すまい、と
一致団結してここまでなんとかバレずにやってきた
今年、集まったのは7名
たった7名
一人頭、200万個
絶望的である
だけど、俺達は
子供達の夢を
壊すわけにはいかない
配りきってみせる
絶対に
プレゼント