ガラスというほど脆くはないな、と君が言う。
ダイヤモンドほど輝かしくもないだろ、と言う。
だから、あんたの心は石英に似てる、と言う。
その時から、わたしは、わたしの心ってそういうものだな、と思っている。
まあ、ついでに言っておくなら、せめて水晶って言ってくれないかな、とも思っている。
それは、なんというか、ロマンの問題として。
#My Heart
白詰草の指輪に託した約束。
忘れないでいてほしかった。
四葉のクローバーを探した冒険。
過去にしないでほしかった。
ラムネの瓶のビー玉に輝いた瞳。
曇らせないでほしかった。
大人になって手に入れたたくさんのものと、失くしてしまったいっぱいのきらきら。
あの頃は、あんなに、早く大人になりたかったのに。
#ないものねだり
新月みたいだな。
それをわざわざ探したりしない。探したところで見つかりやしないのだし。
気づいたらいない。いなかったことに、ふと気づく。
そうやって、いないときにばっかり、気づくんだよ。
わたしにとっての君って、そういう感じ。
君のこと、好きでも嫌いでもない。
でも、君がいない、ってことばかり、気になるんだ。
#好きじゃないのに
この傘はね、内側に雨が降るの。
外はこんなに晴れているけど、この傘の内側はいつだって雨。
悲しくなったら、傘をさしてみるといい。
頬が濡れても、雨のせいだよ。
#ところにより雨
それは傷だよ。
十年前の叶わなかった恋が人生の何より忘れられないなんていうのはね、綺麗な思い出なんかじゃなくて、傷痕なの。人生に後遺症が残ったってことなの。もう、元通りに治ったりはしないの。
あなたはその傷と生きていくんだ。
もう二度と会うことなんてないまま、十年前が百年前になったって、ずっと、一生。
そんなにも狂おしい恋をしたってことを、抱えて生きるんだ。
#特別な存在