「またね！」と小さく手を振りながら言う姿に応えない。
初めて会って喋ったのに、会ってから1時間以内で、胸を触ってきたり、キスしようとしてくる男なんかに、「またね」なんて言い返すわけがないだろうと思った。
その時は頭が真っ白になって何も出来なかったが、今ならぶん殴っている。

春になって暖かい風が吹くようになっても、日陰に積もった雪はまだ残っていて、もう外はぽかぽかと暖かいのにと、学校に行って、その溶けない雪を見るたびに思っていた。
暖かくなった途端、冬の寒さを忘れて、少し残った雪をまだ溶けないでほしいと願ってしまう。

思い返すと、彼女が涙を流している姿を一度も見たことがない気がする。
彼女は正義感がとても強いから、精神的にも強い人なのだ。
「なんで分かってくれないの！もう何も言わないで！」と癇癪をおこして強い口調で言う彼女の姿を初めて見て、精神的に強くなんかなくて、弱っている姿を見せようとしていなかっただけなのだと気付いた。
今まで辛いことがあった時に、誰にも見られないように泣いていたかもしれない。
それなのに彼女は強い人だと決めつけて気付こうとしていなかった。
まだ全然頼りないから、弱い姿は見せてくれないかもしれないけど、彼女が泣いていたら、受け止めて、慰めることが出来る人になりたいと思った。

お風呂に入ってる時が小さな幸せかなと思う。
真夏でも本当はシャワーだけじゃなくて、お風呂に入りたいと思ってるし、お風呂を沸かしてないから、シャワーだけだと言われるとガッカリする。
だけど、温泉はそんなに好きではない。
私は一人でゆっくり入るのが好きなのかもしれない。

抽選会で当たった桜草を育ててから、桜草のことが好きになった。
今まで気付かなかったけど、家の庭にたくさん植えられていたらしいと自分で育ててから気付いた。
今年は見れるだろうか。
祖父がいなくなってから、父が管理しているので、もしかしたら雑草だと思って抜いてしまっているかもしれない。
たくさん咲いているところを見れたらいいなと思う。