手のひらよりも小さく、親指の先くらいの大きさの作品を見るのが、いつからか好きになっていた。
いつの日かたくさん並んでいる姿を見たい。

窓を開けるとふわりと良い香りがした。
家の近くにはそんな香りがする花はなくて、どこから来たのか不思議だった。
後からとても遠い所から来たのだと気付いた。

「泣いたらそれでいいと思ってるんでしょ？」と言われた。
違う、そんなこと思ってない。
目から勝手に流れてくるだけで、同情して欲しくて泣いてるんじゃない。
ただ一人味方でいてくれると思ってたのに。
気持ちを言葉で伝えることが出来ていたら、分かってくれたのかな。

自信なんて何もなかったけど、頼んでくれた。
まだ全然上手とはいえない出来ばえなのに。
気に入ってくれるかなとドキドキしながら、完成したぬいぐるみをあなたのもとへ送った。

昼寝をしている母の手の形に衝動が抑えきれず、そっと人差し指を入れた。
人差し指がきゅっと握られる。
それが何だか嬉しくて、その後見かけるたびに入れた。
いつもじゃないけど、たまに握ってくれた時、やっぱり何だか嬉しかった。