電車の窓から見える知らない街。
今日は仕事が休みなので、行ったことない所へ行こうと思い、電車に乗り込んだ。
毎日同じことの繰り返しで、遠くへ行きたくなることは誰にでもあると思う。
住んでる街から離れ、全く新しい風景を見ているだけでワクワクする。
次の駅で降りて、街を探索してみよう。
きっと楽しい気持ちでいっぱいになるはずだ。
そう意気込み、財布を取り出して残金を確認する。
……手持ちが少なく、帰りの切符が買えるギリギリの金しかない。
電子マネーの残金も確認するが、10円しか残っていない。
「はあ……」
深い溜め息を吐き出し、結局街を探索することなく帰りの切符を買って、再び電車に乗り込む。
これでは電車に乗っただけじゃないか。
さっきのワクワクの気持ちを返してほしい。
逆再生する風景を見ながら、住んでる街へと戻っていった。
外からの光をカーテンで遮断している自室。
部屋着でベッドに寝転び、スマホの画面を開く。
私は現実逃避をするために、ネット世界へやって来た。
現実はどうしてこんなにもクソなのだろう?
嫌なことが積み重なると、どうしてもネガティブ思考になってしまう。
だけどネット世界では、好きなものだけを見ることが出来る……はずなのに。
なぜか今働いている職種の広告が、嫌がらせのように沢山表示される。
私はこんなものを見るためにネット世界へ来たんじゃない。
最近あった嫌なことを思い出してしまい、思わずスマホを放り投げてしまった。
そしてまた、現実へと戻ってきてしまう。
立ち上がり、カーテンを開けると、外から太陽の光が射し込んでくる。
眩しい……あまりにも眩しい。
こんなに外は明るくて眩しいのに、私は暗い部屋から外へ出る気が起きなかった。
太陽に手が届きそうなくらい気持ちが良い快晴の空。
君は今、どこで何をしているのだろう?
もしかしたら、この空をどこかで見ているのかもしれない。
世界中で自然災害が大活発化し、地上が割れ、海も割れてしまった。
そのおかげで、別々の場所で暮らしていた俺と彼女は、会うことが難しくなってしまう。
なんとしても彼女と会う方法を探さないと……。
このまま永遠の別れなんて、絶対に嫌だ。
空に向かって、右手を伸ばす。
彼女もどこかで空を見上げていると信じて、光り輝く太陽をギュッと右手で握った。
分厚いモクモクの煙のような雲が支配している空。
見ているだけで、こっちも気が重くなり、気だるい気分になってしまう。
太陽はどこへ行ってしまったのだろう?
雲に隠れてないで、出てきてほしい。
折角太陽の光を浴びに外へ出たのに……。
いつまで待っても、太陽は姿を現さない。
もう諦めて家へ戻ろうとした瞬間、暖かい光が背中に当たる。
振り返ると、雲と雲の隙間から、僅かな太陽の光が射し込んでいた。
どこまでも広がる白い雲。
俺は交通事故で死んでしまい、早めの天国へ来てしまった。
「まだここは天国ではないですよ。ここで天国行きか地獄行きか判断します」
一匹の天使が近づいてきて、そう言った。
手には紙を持っていて、俺と紙を交互に見ている。
「……残念だけど、君は地獄行きだね」
「え!?なんでだよ!罪を犯してないのに!」
「君は蚊を千匹以上殺している。蚊とはいえ小さな命だ。その命を沢山奪ったのがよくなかったね」
「そ、そんな……」
蚊を叩いただけで地獄行きになるなんて……。
そんなことがあっていいのか?
「それじゃ、地獄へいってらっしゃ〜い!」
天使は俺に向かって手を振る。
足元の雲に穴が開き、俺は納得出来ないまま、真下へ落ちていった。