空高く伸びる虹の架け橋。
小さい頃、虹はどこへつながっているんだろう?と疑問に思っていたが、まさか天国へつながっていたとは……。
虹を橋代わりにして渡るなんて、まるで絵本に出てくる話のようだ。
よし……渡るぞ……。
「ちょっとあなた、止まりなさい」
虹に足を乗せようとしたら、天使に呼び止められる。
「あなたは天国行きではなく地獄行きです。生前に沢山の罪を犯してますから。さっ、階段を降りて地獄行きのバスに乗って下さい」
地面がパカッっと開き、階段が現れる。
虹の橋、渡りたかったな……。
俺は重い足どりで、階段を降りて地獄へ向かった。
既読がつかなくなった私だけのメッセージ。
"誕生日おめでとう"
毎年お祝いのメッセージを送るけど、既読はつかない。
あなたは、私より先に天国へ行ってしまった。
あなたのスマホは、遺品として私が持っている。
でも、まだどこかで生きている気がして……ふらっと目の前に現れるような気がして……。
もし帰ってきたら、スマホを返して、おかえりって言ってあげたい。
……分かってる。もう二度と帰ってこないことは。
分かってる……分かってるよ……。
目の前が滲み、メッセージ画面が歪む。
気がつくと、あなたのスマホを強く握り締めていた。
歩くたびに肌に当たる涼しい風。
やっっっと、気温が下がった。
長過ぎる夏がようやく終わり、遅い秋がやってくる。
待ってましたと言わんばかりに、あちこちではしゃぎながら飛び回る赤トンボ、楽しそうに合唱する鈴虫。
山を見ると、所々で模様替えが始まっていた。
最近はスーパーで梨やブドウを見かけることも多くなったし、食欲の秋も始まる……じゅるり。
でも、夏が長過ぎて、秋は一瞬で終わってしまう。
冬が来る前に、秋を堪能しないとね。
私は秋の味覚を堪能するために、スーパーへ早足で向かった。
チャイムが鳴ると同時に、シーンと静まり返る教室。
今日は魔法学校の筆記テスト。
先生はテスト勉強しなくても回答出来ると言っていたけど、どんな問題なのだろうか?
テスト用紙を表にし、問題を見た。
"もしも世界が終わるなら、あなたはなにをする?"
……なんだこの問題、魔法と全く関係ないじゃないか。
世界が終わるなら……か。
世界を終わらせて、自分の手で新しい世界を作りたい。
この世界は、魔法に頼りすぎている。
まず魔法を使えないようにして、魔物を解き放って……。
回答を書いていたら、いつの間にか口角が上がっていたことに気づく。
「君、闇のオーラが出ているぞ。テスト終了後、職員室まで来なさい」
「えっ……あ……はい……」
テスト終了後、職員室へ行くと、僕は闇のオーラをまとう魔王予備軍と言われる。
先生達に囲まれて、闇を浄化する魔法をかけられた。
くっ……覚えていろ……いつか……復讐してやる……。
走っているうちにほどけてしまった靴紐。
結んで走るが……またすぐにほどけてしまう。
しっかり結んでも、固く結んでも……ほどける。
「さっきからずっと靴紐結んでるけど、どうしたの?」
靴紐を結んでいると、マネージャーが話しかけてきた。
「結んでも結んでも紐がほどけちゃってさ」
「ちょっと私が結んでもいいかな?」
「あ、ああ」
マネージャーは俺の前にしゃがみ、俺と同じようにリボン結びをしていく。
華麗な手つきで結び、最後にキュッ!っとキツく縛った。
「はい!出来たよ!」
マネージャーは靴をポンッポンッと軽く叩きながら言った。
「ありがとう」
見た感じ普通のリボン結びだけど……。
とりあえず、走ってみるか。
しばらくの間走ったが、靴紐は全くほどけなかった。
「全然ほどけなかったよ。俺が結んでもすぐほどけたのに……なにかコツとかあるのか?」
マネージャーは「うーん……」と顎に手を置き、考えている。
「靴紐がほどけないよう何度も練習したからかな?私、陸上部のマネージャーとして、皆の役に立ちたかったから」
へへへっと照れながら笑うマネージャー。
俺は皆にこのことを教えると、マネージャーの元に靴紐を結んでほしいと何人か集まっていた。
今では、大会で走る直前では必ず、マネージャーに靴紐を結んでもらっている。