チャイムが鳴ると同時に、シーンと静まり返る教室。
今日は魔法学校の筆記テスト。
先生はテスト勉強しなくても回答出来ると言っていたけど、どんな問題なのだろうか?
テスト用紙を表にし、問題を見た。
"もしも世界が終わるなら、あなたはなにをする?"
……なんだこの問題、魔法と全く関係ないじゃないか。
世界が終わるなら……か。
世界を終わらせて、自分の手で新しい世界を作りたい。
この世界は、魔法に頼りすぎている。
まず魔法を使えないようにして、魔物を解き放って……。
回答を書いていたら、いつの間にか口角が上がっていたことに気づく。
「君、闇のオーラが出ているぞ。テスト終了後、職員室まで来なさい」
「えっ……あ……はい……」
テスト終了後、職員室へ行くと、僕は闇のオーラをまとう魔王予備軍と言われる。
先生達に囲まれて、闇を浄化する魔法をかけられた。
くっ……覚えていろ……いつか……復讐してやる……。
走っているうちにほどけてしまった靴紐。
結んで走るが……またすぐにほどけてしまう。
しっかり結んでも、固く結んでも……ほどける。
「さっきからずっと靴紐結んでるけど、どうしたの?」
靴紐を結んでいると、マネージャーが話しかけてきた。
「結んでも結んでも紐がほどけちゃってさ」
「ちょっと私が結んでもいいかな?」
「あ、ああ」
マネージャーは俺の前にしゃがみ、俺と同じようにリボン結びをしていく。
華麗な手つきで結び、最後にキュッ!っとキツく縛った。
「はい!出来たよ!」
マネージャーは靴をポンッポンッと軽く叩きながら言った。
「ありがとう」
見た感じ普通のリボン結びだけど……。
とりあえず、走ってみるか。
しばらくの間走ったが、靴紐は全くほどけなかった。
「全然ほどけなかったよ。俺が結んでもすぐほどけたのに……なにかコツとかあるのか?」
マネージャーは「うーん……」と顎に手を置き、考えている。
「靴紐がほどけないよう何度も練習したからかな?私、陸上部のマネージャーとして、皆の役に立ちたかったから」
へへへっと照れながら笑うマネージャー。
俺は皆にこのことを教えると、マネージャーの元に靴紐を結んでほしいと何人か集まっていた。
今では、大会で走る直前では必ず、マネージャーに靴紐を結んでもらっている。
宇宙に浮かぶ丸くて青い地球。
数ある惑星の中で、美しく作れた惑星の一つだ。
だが、外見は美しくても、中は美しくない。
特に、地球に住んでいる者達が……。
恐竜がいた時は、隕石を落として絶滅させた。
そして今、人間をどのように絶滅させようか悩んでいる。
また隕石を落としてもいいが、同じやり方だと面白くない。
しかし何も思いつかず、宇宙にあった小石を何度か地球へ落としたこともあった。
……考え込んでしまい、気がつけば数百年経っていたことに気づく。
答えは、まだ出ていない。
電車内から見える緑と青の景色。
本来から癒される風景だけど……。
「はぁ……」
溜め息が、漏れる。
私は今、絶賛失恋旅中なのだ。
彼氏のことを忘れるため、どこか遠い所へ行こうと電車に乗ったのに、余計虚しくなってきた。
「あなた、辛そうな顔をしてるわね」
隣に座っていた高齢の女性が話しかけてきた。
「でも大丈夫。あなたはまだ若いから、これからきっと良いことがあるはずよ」
女性の言葉を聞いて、少し、気持ちが晴れやかになる。
緩やかに揺れながら走る電車。
私の失恋旅は、まだ始まったばかりだ。
コンパスで書いたような真ん丸の満月。
彼女と一緒に見上げる月はいつもと違い、綺麗で輝いて見える。
「今日は満月で綺麗だね」
彼女は目をキラキラ輝かせながら言った。
「ああ、そうだな」
"お前と一緒だから、いつもより綺麗に見えるよ"って本当は言いたいが、恥ずかしすぎて言えない。
だから、彼女の身体を引き寄せ、行動で示すことにした。
「あっ……」
彼女は抵抗せず、俺に身を預ける。
それからしばらくの間、お互い無言のまま、満月を一緒に見ていた。
やっぱり、彼女と一緒に見る月は、綺麗だ。