友達から連絡が来た。
『なぁなぁ聞いてくれよッ!
オレ、昨日女の子と一緒に帰ったんだぜ!?
しかも相合傘しながら!!』
信じるわけないだろ普通。
まぁ返してやるか。
[まじかよー!可愛かった?]
『可愛いに決まってんだろ!
小さくてふわふわしてる子なんだよ』
嘘だろ本当なのか、?
[じゃあ写真見せろよ~笑]
写真がすぐに送られてきた。
………ネズミ、??
あっ、女の子って「女(メス)の子(ネズミ)」ってこと!?
仕事の合間に友達から電話が来た。
「オレ好きなシリーズ本あってさー、
もう家に5巻あるのよね笑
『詐欺に注意!』っていう本なんだけど
めっちゃおもろいんよ笑笑
しかも結構高いんだよね~。
でもあと少しで6巻目出るっぽいから楽しみだわー。」
完全に騙されてやがるなこいつ。
ってか詐欺喚起のシリーズ本ってなんだよ。
「おいおい!それ完璧詐欺だろ?笑」
その本について一番詳しい俺はニヤリと笑った。
仕事が捗りそうだ。
「赤い紫陽花の下には死体が埋まっている。」
記憶が蘇る。
――俺が死んだら、埋めてくれ。
そして紫陽花を植えてくれ。
数年前に双子の兄が放った言葉だ。
オレとは違って兄は皆に好かれていた。
許せなかった。
オレは兄を殺した。
周りはオレが死んだと思った。
今度はオレが好かれる番だ。
「にーちゃん。大嫌いだけど大好きだよ。」
紫陽花に向かって言い放った。
紫陽花は血のように赤く染まっていた。
俺は立派な大人だ。
好き嫌いなんかするもんか。
「あっUFO!!」
テキトーな所を指差す。
おバカな友達は引っかかってくれる。
これでピーマンを食べずに済んだ。
俺は立派なオトナだ。
嫌いなことがバレなければないのと一緒だ。
「んー…あぁもう朝か…」
日差しが眩しくてなかなか目を開けれない。
朝ってこんなに暖かかったか?
…いや違う。嫌な予感がする。
温かいのは股間周りだ。
やったか?23にして。
「トイレ行く夢見なきゃよかった…。」
俺が今感じている温もりは、
朝の温もりか、股間の温もりかは分からなかった。