緋美祈

Open App

「赤い紫陽花の下には死体が埋まっている。」


記憶が蘇る。



――俺が死んだら、埋めてくれ。
      そして紫陽花を植えてくれ。 
 

数年前に双子の兄が放った言葉だ。
オレとは違って兄は皆に好かれていた。


許せなかった。


オレは兄を殺した。
周りはオレが死んだと思った。

今度はオレが好かれる番だ。


「にーちゃん。大嫌いだけど大好きだよ。」
紫陽花に向かって言い放った。


紫陽花は血のように赤く染まっていた。

6/13/2024, 2:02:46 PM