11/29/2025, 2:11:40 PM
「失われた響き」
鐘がなる
両親は涙を
友人は笑顔を
祝福はやまず
幸せの絶頂は続くと思っていた
玄関を開ける
夕暮れの紅に染まった部屋に
おかえりと微笑む
あなたが立っている
あなたの香りが生み出した
幻
幸せだった頃の残滓
この部屋に残る
あなたの思い出に溺れ
窒息出来れば良いのに
11/28/2025, 12:08:45 AM
「心の深呼吸」
空気を吸い込む
深く
深く
深く
胸に走る疼痛は
冬の透明な空気のせいか
忘れたい想いのせいか
再び空気を吸い込む
胸の痛みは
奥に押し込んだ分だけ
痛くはなかった
11/25/2025, 4:39:29 PM
「落ち葉の道」
ひとつ落ちる
ひらひら
ゆらゆら
ふたつ落ちる
おどおど
びくびく
みっつ落ちる
うきうき
いそいそ
君と歩くこの道で
君に届かなかった言の葉が
舞い、落ちていく
君は綺麗な景色だと褒めながら
私の大切を踏み、歩いていく
君の姿に目の奥が熱く、心臓が冷たくなるけれど
そうだね
と、笑って言う
偶然この道で君に会い
一緒に歩いてみようと背伸びをしてみたけれど
どこまでも私は君の隣にいれなかった
ごめんなさい
ありがとう
さようなら
最後の葉が君の前を舞い、落ちていった
11/22/2025, 8:17:34 PM
「紅の記憶」
眼前は
鮮血のような色に染まった
赤く
紅く
赫く
その景色は低く呻り
語りかけてくる
お前の努力は無駄だった
お前の真心は無力だった
また、お前は無惨にも
可哀想に
悲しそうに
何もなせず墜落するのだと
私では決して望んだ場所に辿りつけないと
呪ってくるのだ
失敗する度に
失くす度に
繰り返し語りかけてくる
その暗い声は
どこか
私の声に似ていた
11/20/2025, 9:46:40 AM
「吹き抜ける風」
熱風が私の横を駆け抜けた
突如、
私の体から
血が流れる音がして
肺が伸縮し
呼吸が始まる
心の臓が駆動する
目に映る景色は着色され
私は初めて世界を知った
ブリキと大差なかったはずの私は
あなたの風に吹かれて
心を手に入れたのだ