#世界の終わりに君と
もしも明日世界が終わるとしたら。
美味しいものを沢山食べる。
親孝行をする。寝て世界が終わるのを待つ。
様々な選択がある。
きっと君に出会う前の僕なら
同じような事を考えていただろう。
でも君に出会った今の僕なら
考える時間なんて要らない。
もしも明日世界が終わるとしたら
僕は世界が終わる瞬間まで
君の傍に居たい。
#最悪
死にたがりの僕といつも急に現れる君。
今まで様々な方法で自殺をしてきたが
毎回君に邪魔をされ、失敗に終わる。
よく晴れた土曜日。僕はまた自殺をする。
今日は絶好の入水日和だ。今日こそは死ねる気がする。
静かに川に入り、仰向けになる。
肺に水が入るのも気にせず目を瞑った。
ああ、やっとこの時が来た。
其の儘体を川に預けていると
急にぐっと誰かに引き寄せられた。
目を開けると同時に映ったのは
散々見た君の顔。
「最悪……」
どうやら君をどうにかしないと
まだまだ僕は死ねないらしい。
#狭い部屋
高校生までは家族と
広い一軒家に住んでいて。
高校を卒業した頃、一人で
アパートに引っ越してきた。
最初の頃はまだ慣れず
この部屋が狭く感じたり、
初めての一人暮らしということもあって
不安が募っていた。
けれど隣人の君と仲良くなり
恋人になれた頃には、
君に会いたくなったら
すぐ会える。
そう考えると自然と
口角は上がっていた。
#梅雨
雨が降り湿気も多く
気分も憂鬱になる。
そんな梅雨が僕は嫌いだ。
でも彼女は違うらしい。
「なんで梅雨が好きなの?ジメジメして嫌じゃない」
僕がそう言うと彼女は
『君が傘を忘れた日に1つ傘を持っていって、相合傘が出来るから。私は梅雨が1番好き。』
彼女があまりにも笑顔でそう言うから
僕も少し梅雨を好きになれた気がした。
#無垢
何も知らなくて、子供っぽくて素直で
屈託なく笑う君と
素直になれなくて、無口で
あまり笑わない、彼女とは対照的な僕。
近寄りにくい。何考えてるのか分からない。
普段からそう言われている僕は
必然的に呟いた。
「こんな僕が君の傍に居てもいいのかな」
無意識に出た言葉に彼女は目を見開いた。
ずっと思っていた
言うつもりのなかった言葉を
声に出してしまい、僕はかなり焦った。
でも数秒呆然とした後、彼女はふはっと笑い、
『側に居てよ。私がそれを望んでいるんだから。』
その一言に僕は救われた気がした。