1000年先も残ってるといいが。
そこは私たちの腕を信じようよ。
それを見ることすら出来ないがな。
まあね~。
がんばってくれよ、と観測機の外装をコンと叩いた。
次の次の次……の世代に、お前の記録を見せてやってくれ。
俺たちの夢を。
太陽の下で出会った彼女はいったい……?
○×※△主演の最新作、真夏の太陽は7月10日公開!
ねー、これ、いつの映像?
後ろから声がした。振り返ると、ペタペタと音を立てて彼が寄ってきた。
さあ、何時だろう。再生できると思わなかったから、確認しなかった。
生態分析の役に立つかな。
どうかな。
見上げた空には、恒星が浮かんでいる。映像では目が開けていられないほど光り輝いていたのに、今の光はずっと弱く、地上は薄暗い。
彼らはここでこうして生きていたんだね。
私達がここにくる、ずっとずっと前に。
彼が手を伸ばして、また再生した。でも、少し映っただけで、後は何も映らなくなってしまった。
そんな顔しないで。私のライブラリに収録されているから、戻ったら見せてあげよう。
カツカツ、と私は頭部を指先でつついた。
急に寒いよ。
用意が間に合わないよ。
ぶつぶつ言いながらセーターを引っ張り出す。綿ぼこりがたったのか、鼻がむずっとした。
は、はっくしゅ!
ふわっと肩が暖かくなった。彼が後ろからハグしている。
少しは暖かい?
君のそういう優しいところ、好きだよ。
でもね、それよりも、そこにあるエアコンのリモコンをポチッとして欲しいんだよね。
立ち上がってずぼっと頭からセーターをかぶせると、ありがとうおかーさん、と子はにへらと笑った。
月が美しかったので、願いをかけてみた。
この人といつまでも一緒にいられますように。
形が変わるものに願いをかけても無駄だよ、と隣に立つ人は笑った。
月というのは地球の重力に引かれて回る一個の天体で……。
語り出すと止まらない。
隣から何の反応も返ってこないことにやっと気が付いて、私は口をつぐんだ。
またやってしまった。
隣には誰もいない。
いつも一緒にいてくれてありがとう
毎日が幸せだった
最愛の猫よ
君が大好きだった猫ベッドは
いつの間にか古びて生地が裂けていた
もうそんなに時間が経ったのかい