君と最後に会った日
私達は途方もなく
あの空に浮かぶオリオン座を眺めてた
「ねえ、もう終わりにしようよ」
「私はまだ君の側に居たいよ。」
「これ以上君を泣かせられない」
「何故?泣かせなければいいじゃない。」
苦痛に歪む君の顔を見て
本当に間違えていたのは君でも私でも無い
出逢ってしまった現実だったんだと
私は強く切なくなった
「じゃあ もう行くね。」
「うん、またどこかで会えたら」
「会うことは無いよ。私が嫌だもの。」
「…ごめん」
君を突き放すことが
私を。君を。守る為の術と思った
側に居たい その本音はきっともう
この先君に伝わる事は無い
オリオン座の光るこの空を私は
未来で誰かと眺める度に涙を流すんだろう
君は繊細な花のように儚く消えて
それでもなお私の胸には残り続けるなんて
図々しいと思わない?
それでも「愛おしさ」が私の中にある以上
決して抜けられない呪霊のような恋だった
基本連絡は取らない。
取るとしても、
貴方から突拍子も無くかかってくる電話か
私のシフトを伝える程度で。
それが貴方と私の日常で
それが貴方と私にとっての当たり前で。
別に悲しくなんてないわ
ただ、ほんの少し。寂しいだけ。
貴方の「特別」になれないことが
ただ、ほんの少し。悔しいだけよ。
別れはあまりにも突然だった
私が1番だと言ってくれていた彼は
いつの日か違う誰かのものになった
繋がっていたSNSは全て切られ
彼のストーリーには私では無い
誰かと笑っているものが写るようになった
それがきっと運命だと気付くには
私にはまだ早すぎたのかもしれない
でもね
貴方が心のどこかでまだ
私の事を思ってくれているなら
唯一貴方が消していないLINEくらい
消してくれてもいいと思っているんだよ
君とみたあの夜の海を、街の夜景を
賑やかな商店街を、和やかな旅館の廊下を
あの映画を、あのアニメを
河川敷から見る月の光を、空に輝くオリオン座を
君しか持つことの無い香水の香り
君にしか出せない可愛い笑顔
風に吹かれる君のくせっ毛
振り返っては歩幅を合わせてくれる優しさ
倒れた私を抱えた時の君の顔色
酔っ払った私を見る愛おしそうな目
あの日々を、あの記憶を、私はこれからもきっと
忘れられない、いつまでも。