熱に浮かされ上手く働かない頭に苛立ちを覚えた。
吐き気と頭痛で、気分は最悪。風邪を引くといい事がない。
風邪とは無縁の生活をおくる人々を、心の底から羨んだ。
「……おかあさん」
理由もなく、何が怖くなって母を呼ぶ。
来てはくれないだろうと思っていたのに、以外にも母は心配そうに私の方へ来た。
優しく頭を撫でて、大丈夫?冷えピタかえようか?と声を掛ける。
あぁ、これはきっと都合のいい夢だ。 そう思うと同時に、誰かがこちらへ向かって来る音がした。
ほら、やっぱり夢だった。
足音が聞こえだしたあたりで目が覚める。
「あんれま!inkおはよう!かあいいねえ!」
「……あぁ、おはよう。そしてありがとう」
起き上がるのがなんだか面倒くさくて、ソファに寝そべっていると、足音の正体であろう人物が、元気よく部屋に入ってきた。
彼女は私の足を少し持ち上げてソファに座る。座ると上げた足を自身の足の上に下ろした。
「普通に言ってくれりゃあ退くというにね」
「寝てて、そのまま。疲れてるでしょ?疲れたって顔してる」
私の表情筋はぴくりとも動かないはずなのに、いつも彼女は私の変化に気付く。どうやって見抜いているのやら。
「疲れては、ないよ。多分」
「何かあったの?話してみてよ。そしたら少し軽くなるのよ」
別に特別隠さなければならない話ではなかった為、私は見た夢の話をした。
風邪を引いて、母が優しい声を、視線を私にくれた事。
「ありゃ、むかあしの記憶さね。風邪引いて、優しくされて、その時の自分が羨ましかったっつう話じゃ」
「……そっか」
「昔の話よ、昔の。もうあれから何年経ったと思う?百はゆうに越しとる」
何かを気にするような仕草をする彼女にそう言えば、そうだよね、と返される。
それ以上彼女は何を言うでもなく、ソファで寝てしまった。
途中から何書きたいか分からなくなってしまいました。