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8/11/2024, 7:05:59 AM

「終点〜、終点〜」

隣のおじいちゃんは、いつもそう言う。
車掌さんをやっていたことでもあるのかな。

「フンッ、セイッ、ハァッ」

掛け声のようなものも聞こえる。
多趣味だったのかも。

「隣のおじいちゃん、元気だね」
「スマブラの元チャンピオンよ」

8/8/2024, 11:09:28 AM

蝶よ花よ。

愛でられて然るべきと微笑みを受ける者たちよ。

美しさ故に奪われ、飾られ、短い者たちよ。

奮い立て。

醜き芋虫、試練の蛹。
誰もが美しく羽化するわけではないのを奴らは知らない。

暗き土中、渇く熱気。
誰もが豊かに育つわけではないのを奴らは知らない。

奮い立て。

蝶らしからぬと言われども。
花らしからぬと言われども。

我々はただ、生きている。
芋虫のまま巨大になり、日陰に隠れようとも。
しなびて枯れ、つぼみすら付けられずにいようとも。

蝶よ花よ。
私が私を認めるの。

8/7/2024, 6:18:33 PM

最初から決まってた。

そう嘆くのは簡単だ。
勇気と希望を持って進もう。
何も決まってないから。

「きれい事だ」

私の隣で誰かが呟いた。
彼は痩せた身体から有り余る不機嫌を滲ませた。

「何も決まってないわけがあるか」

「生まれて、生きることすら難しい子どもがいるのに。
ネグレクトについて知らないと見える」

補足するように呟いたのは、小さな人だった。
目深く被った帽子は表情を隠していた。

「ものの喩えじゃないかな」

恐る恐るの内面を隠すように胸を張って、私は言った。
彼らは私の方に顔を向けて、舌打ちをした気がした。

私が彼らを確認すると、彼らは立ち去っていた。

私は考える。

話が比喩かどうかより、彼らがなぜ不満げなのか。
なぜ彼らが呟いたのか聞けばよかった、と。

こうして彼らは消えていくんだろう。
なかったことにされるんだろう。

「最初から決まってた」

誰にも理解されない。

そんな想いを、抱え続けているのかもしれない。
悪いことをしたかもな。
私は悲しく、寂しくなった。
私が彼らなら、そう思うからだ