ゆきやなぎ

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9/26/2023, 5:00:36 AM

#127 夫婦円満の秘密

いちじく畑を潰してできたコインパーキングの灯りが我が家を照らしている。
夫が「防犯になっていいね」と言うので「そうね」と口を合わせたけれど、本当は、月明かりよりも白く強く、煌々と夜を照らすこの灯りの遠慮なさが嫌い。でも、そんなことを言うとめんどくさがられそうなので、この灯りのように白々しい笑顔の仮面をかぶって「そうね」と微笑んだ。

お題「窓から見える景色」

9/22/2023, 9:26:05 AM

#126 秋恋

図書室で
ページ操る
君の指
金木犀の
コロンが香る

お題「秋恋」

9/19/2023, 9:28:08 AM

#125 夜の灯りを喰らうひと

夜の灯りが地上に広がる
このひとつひとつの灯りに
人生があり幸せがある

今夜も地上に広がる灯りに手を伸ばすと
灯りは一粒のあめ玉となり
彼はそれを口に運んだ

誰かの幸せが胃袋に広がる

叶うなら、喰らう側ではなく
これら一つの
ただの灯りになりたかった...

そんな憂鬱を抱きながら
彼は灯りのあめ玉をもう一粒口に入れた

あぁ 胸が焼ける
でも 今夜はもう少し喰らわねば

この夜の灯りが
これ以上
暗い夜を侵さぬように__

お題「夜景」

9/6/2023, 7:51:19 AM

#124 砂になるまでリフレイン

浜辺の波が奏でる唄は
流れ着いた貝殻の
秘めた記憶の
遠い遠いどこかの唄

長旅の末、欠けてしまった貝殻の
欠けた唄の不完全なメロディーを
波は構わずにリフレインします

繰り返す波に洗われて
貝殻が砂となり
唄が消えてしまうまで__

お題「貝殻」

9/5/2023, 7:59:39 AM

#123 いつか星屑にしてあげましょう。

きらめく星々をシロップにして
綿菓子のような氷の山を壊さないように
そっとかけました

この夏、最後のみぞれ氷です

ところが、
無遠慮に追い掛けする
あなたのイチゴシロップが
綿菓子氷の山を赤くえぐります

それを乱暴に一気に平らげて
赤く染まった唇から
「やっぱり抹茶が好きだな」
と、屈託なく放たれた言葉が棘となり
チクリと私を刺して小さな殺意が芽生えました

いつか星屑にしてあげましょう。

お題「きらめき」

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