9/22/2023, 9:26:05 AM
#126 秋恋
図書室で
ページ操る
君の指
金木犀の
コロンが香る
お題「秋恋」
9/19/2023, 9:28:08 AM
#125 夜の灯りを喰らうひと
夜の灯りが地上に広がる
このひとつひとつの灯りに
人生があり幸せがある
今夜も地上に広がる灯りに手を伸ばすと
灯りは一粒のあめ玉となり
彼はそれを口に運んだ
誰かの幸せが胃袋に広がる
叶うなら、喰らう側ではなく
これら一つの
ただの灯りになりたかった...
そんな憂鬱を抱きながら
彼は灯りのあめ玉をもう一粒口に入れた
あぁ 胸が焼ける
でも 今夜はもう少し喰らわねば
この夜の灯りが
これ以上
暗い夜を侵さぬように__
お題「夜景」
9/6/2023, 7:51:19 AM
#124 砂になるまでリフレイン
浜辺の波が奏でる唄は
流れ着いた貝殻の
秘めた記憶の
遠い遠いどこかの唄
長旅の末、欠けてしまった貝殻の
欠けた唄の不完全なメロディーを
波は構わずにリフレインします
繰り返す波に洗われて
貝殻が砂となり
唄が消えてしまうまで__
お題「貝殻」
9/5/2023, 7:59:39 AM
#123 いつか星屑にしてあげましょう。
きらめく星々をシロップにして
綿菓子のような氷の山を壊さないように
そっとかけました
この夏、最後のみぞれ氷です
ところが、
無遠慮に追い掛けする
あなたのイチゴシロップが
綿菓子氷の山を赤くえぐります
それを乱暴に一気に平らげて
赤く染まった唇から
「やっぱり抹茶が好きだな」
と、屈託なく放たれた言葉が棘となり
チクリと私を刺して小さな殺意が芽生えました
いつか星屑にしてあげましょう。
お題「きらめき」
9/1/2023, 9:37:40 AM
#122 特別な月が慰める夜
完璧じゃなくても
いいじゃん いいじゃん!
自分は自分ってのが
最近の流行りでしょ?
塞ぎ込む僕を夜が包み
十三年ぶりの大きくて
特別な満月が
僕を見下ろしている
お題「不完全な僕」