ゆきやなぎ

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6/27/2023, 8:48:43 AM

#100 そして、大人になろうと決めた

じゃーまた明日!

あの日の僕は、手元にあるゲームステージのクリアが重要で、惰性のさよならを君に送った。
何よりも、明日も明後日もずっと今日と同じ朝がきてまた会えるものだと疑う余地もないほど僕は子供だったのだ。

あの頃の僕は君と憂鬱を共有しあえるほど大人ではなかった。
でも、あの時、せめて、君と向き合って「また明日」と別れていたら、もしかしたら、少しは君の思いとどまる理由になれていたかもしれない...
なんて、あの日から安っぽい偽善を僕はずっと抱えているよ

少なくとも
明日が必ずしも今日と同じとは限らないと、
思い知らされたあの日、
子供すぎる自分にやっと気付いて
もっと真剣に、真面目すぎるほど懸命に
君の分も大人になってやろうって決めたんだ

お題「君と最後に会った日」

6/26/2023, 9:54:55 AM

#99 儚くも肉食

毎日世話する僕さえも
隙あらば取り込もうと
狙っている貪欲な君
温室の外ではすぐに枯れてしまう
儚くて繊細な花なのに__

お題「繊細な花」

6/23/2023, 4:30:45 PM

#98 日常という名の醒めない夢

いつもの風景の穏やかなまどろみ
居心地が良くて
抜け出せないし
抜け出そうとも思わない

これが夢ではありませんように
またまどろみの中へ堕ちてゆく

こうして私は
溢れる日常に飲み込まれてしまった__

お題「日常」

6/21/2023, 8:15:10 AM

#97 未亡人の台所

あなたがいたから
美味しいスープを作ろうと
毎日張り切れたのかもしれない…

懐かしくも寂しく
そして、静かに
今はひとりの台所で自分のために
鍋をかき混ぜている

夏至の日の夕暮れはまだまだやってこないけれど
つつがなく終わろうとしている今日の日に
早めの感謝をささげながら
ひとり静かに鍋をかき混ぜている

お題「あなたがいたから」

6/15/2023, 7:41:26 AM

#96 短歌

あいまいな
気持ちが滲む
今朝の空
心にさせる
雨傘を持つ

お題「あいまいな空」

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