あなたがいたから
あなたがいたからここまで生きていた
あなたがいたから幸せだった
あなたがいたから私は平凡になった
あなたがいたから全てを壊したくなった
あなたがいたから
あなたさえいなければ。
好き嫌い
「好き、嫌い、好き、嫌い……」
「好き!!」
もう高校生にもなるのに小学校からの友達は横で花占いをしている。
楽しそうだからと黙って見ていたが結果が出たようだ
「良かったじゃん、好きって出たよ」
「それで、何に対して占ってたの?随分熱が入ってたけど」
と聞けば
「先輩が私のことを好いてくれてるか!イケメンでかっこいいんだよ〜!!」
「告白でもしちゃおうかな……!!」
……数週間後に告白してフラれて泣きついてくるのが容易に想像できる。
(どうせフラれるんだから私にしておけばいいのに……)
手に持っていた花占いが終わったあとの残骸を握りつぶした
街
街にはいつでも人が居る
昼はもちろん、早朝でも、真夜中でも。
そんな人通りの多い所では、時々おかしな人間のようなものを見る
半透明であったり、顔が渦を巻いていたり、明らかに生きた人間では無い人間のようなモノ。
街に先輩が居た。亡くなった先輩が。
くっきりと。まるでそこに生きているように。
気付くと私は先輩の手を握っていて、先輩の顔が歪んでいって
あぁ、本当に先輩はもうこの世には居ないんだ。
そう再確認してしまった瞬間、私の記憶は途切れた。
やりたいこと
ベランダで煙草をふかしている彼女に向かって言う
「やりたいことってある?」
彼女は少々驚いた顔をしたがじきに口を開いた。
「…急にどうしたんだ?人間やりたいことなんて山ほどあるだろう?」
「毎日ぐっすり眠りたいし、タバコを沢山吸いたい。チョコ味のやつね。」
「あぁ、今はカップ麺が食べたいかな。辛いやつにたっぷりチーズを入れたのがおいしい」
……予想以上に答えてくれたので驚いてしまった。
「それで、君もやりたいことあるんだろう?」
「おまえと一緒に居れるなら、他のやりたいことなんてどうでもいいよ」そう言おうとして口をつぐんだ。
「そうだね…今は煙草を一本吸いたいかな」
「君の大好きなチョコ味の。」
失恋
今日は最悪の日だ
フラれた。フラれてしまったのだ。
ショックがデカすぎてフラれたその足で好物のこってりラーメンを食べに行ってしまった。こんなお淑やかとはかけ離れたガサツ女だったからフラれたのだろうか?そんな事が脳裏によぎったけれど何も考えたくなかった。
あーあ、次はどの人にしようかな。
好きだった先輩の盗撮写真まみれの壁を見て枕を濡らした。