11/15/2024, 4:23:59 PM
子猫
あの子は私の可愛い子猫。
毛並みのいいふわふわの黒い毛、心まで見られてしまいそうな黄色い瞳
短い手足を懸命に動かしながらこちらへ近付いてくる姿はあまりにも可愛らしく愛おしい。
私はあの人のペット。
私が事故に会い、四肢が使い物にならなくなってからあの人はおかしくなってしまった
血のような少し濁った赤い瞳でこちらを愛おしげに見つめ、
にこやかに微笑みかけてくる。
私はこれからいつまで経ってもあの人のペットで、それを拒むことは出来ないのだ。
11/6/2024, 2:14:24 PM
柔らかい雨
あなたの頬から伝い落ちる涙。
はたはたと私の額に落ちてくる雫。
あぁ、ここまで柔らかな雨は他にあるのだろうか?
10/27/2024, 2:38:25 PM
紅茶の香り
上品な紅茶の香りがするあの人。
綺麗な髪をなびかせこちらにほほえみかけてくる
あの人の好きな紅茶はなんだった?
ダージリン?アッサム?それともそれ以外?
もう覚えていない、あの人から香った匂いを探すために、今日も紅茶を飲んでいる。
9/29/2024, 2:27:23 PM
静寂に包まれた部屋
あなたがいなくなった部屋は、ぱたぱたとした足音も、ソファに座っていると横から話しかけてきた、聞き心地のよい高い声も聞こえない。
一人でいるにはこの部屋は、あまりにもひろく、あまりにも静かで、
聞こえているのは、私の泣き声だけだった。
6/11/2024, 10:20:45 AM
街
街にはいつでも人が居る
昼はもちろん、早朝でも、真夜中でも。
そんな人通りの多い所では、時々おかしな人間のようなものを見る
半透明であったり、顔が渦を巻いていたり、明らかに生きた人間では無い人間のようなモノ。
街に先輩が居た。亡くなった先輩が。
くっきりと。まるでそこに生きているように。
気付くと私は先輩の手を握っていて、先輩の顔が歪んでいって
あぁ、本当に先輩はもうこの世には居ないんだ。
そう再確認してしまった瞬間、私の記憶は途切れた。