12/16/2024, 9:43:16 AM
雪を待つ
辺り一面まっしろな景色の中で佇む彼女を待っている。
雪の季節にしか現れず、挨拶もなしに毎年いなくなる彼女を
しろいまつげにしろい髪、こちらの心まで覗くような赤い瞳
そんな、彼女の季節を待っている。
11/6/2024, 2:14:24 PM
柔らかい雨
あなたの頬から伝い落ちる涙。
はたはたと私の額に落ちてくる雫。
あぁ、ここまで柔らかな雨は他にあるのだろうか?
10/27/2024, 2:38:25 PM
紅茶の香り
上品な紅茶の香りがするあの人。
綺麗な髪をなびかせこちらにほほえみかけてくる
あの人の好きな紅茶はなんだった?
ダージリン?アッサム?それともそれ以外?
もう覚えていない、あの人から香った匂いを探すために、今日も紅茶を飲んでいる。
9/29/2024, 2:27:23 PM
静寂に包まれた部屋
あなたがいなくなった部屋は、ぱたぱたとした足音も、ソファに座っていると横から話しかけてきた、聞き心地のよい高い声も聞こえない。
一人でいるにはこの部屋は、あまりにもひろく、あまりにも静かで、
聞こえているのは、私の泣き声だけだった。
6/11/2024, 10:20:45 AM
街
街にはいつでも人が居る
昼はもちろん、早朝でも、真夜中でも。
そんな人通りの多い所では、時々おかしな人間のようなものを見る
半透明であったり、顔が渦を巻いていたり、明らかに生きた人間では無い人間のようなモノ。
街に先輩が居た。亡くなった先輩が。
くっきりと。まるでそこに生きているように。
気付くと私は先輩の手を握っていて、先輩の顔が歪んでいって
あぁ、本当に先輩はもうこの世には居ないんだ。
そう再確認してしまった瞬間、私の記憶は途切れた。