今日の星占いは12位
ってことで1人で行ってきてくれない?
人には翼が生えていた。歳をとるにつれ、その翼は大きくなり、最終的に飛べるようになる。
君はまだまだ翼が雛鳥程の大きさしかなく、飛ぶなんてありえないだろうと思った。
でも君は急に大きい翼を生やした。とても美しいその翼を羽ばたかせ、飛んでいってしまった。
俺は何故か片方の翼しかない。こんな〝飛べない翼〟でもお前に会いに行きたい。また会いたい。
…でもしばらく、俺の翼は片方のままだろう。
今日は月が綺麗だから君と一緒に外に出て月を見る。
月はとても光っていて、それを褒め称えるかの様にススキが上へ伸びている。
風でススキが揺れる。それと同時に君の髪もなびく。
その髪は、何よりも輝いて綺麗に見えた。
消えてしまった貴方
もう随分前に消えてしまっていたよう
でも私は気付けなかったんだ
あの時、この時、考えてももう遅い
だって貴方は
もう考えることでしか会えないのだから
俺はお前が出かける前に呼びかける。
「気を付けろよ」
お前は元気に返事をする。
「もちろんですよ!」
いつもの会話。お前は初めて出来た後輩と酒を飲みに行く。
これが最後の会話になるとも知らずに。
沢山の光り輝く高い建物にに囲まれた、とても暗い一つの狭い路地裏。誰にも気付かれない場所として俺達がよく使っていた所。
2人分の煙草の煙。狭い路地裏じゃ視界が一瞬で真っ白になる。しかし今はずっと真っ暗。少し見える白は音もなくすぐに消えてしまう。
あいつの声はもう聞けないのに。
あいつの姿はもうないのに。
あいつの暖かさすらもなくなってしまっているのに。
1年に1回、あいつの仕事が成功した日はこの決まった路地裏で煙草を吸う。ずっと忘れない様に。
「そろそろまた大きな戦争なんだ。」
独り言の様に呟き、煙を吐く。
何故だかこの日は暖かい風がゆっくりと流れているように感じた。