まだいい。
愛の意味を知らなくて。
だってそれは誰かに教えてもらうものではなく。
自分で気づくもの。
自分で見つけるものだから。
僕には僕の形があって。
君には君の形がある。
見つけるまで。
僕は僕なりの『愛言葉』を君に贈り続けるよ。
いつか君なりの『愛言葉』を伝えてくれるといいな。
気長に僕は待つよ。
君の隣で。
鏡に手を合わせた。
映る自分の顔が。
いつもと違っていた。
怒り憎しみ?
そんな感情が僕を支配した。
ぶつける事のできない感情の自分が。
鏡の中で僕をにらみつける。
その鋭い眼差しの僕との睨み合い。
馬鹿馬鹿しい。
そう思って…やめた。
この感情は何処へ向かうのだろう。
高く高く空に手を伸ばした。
高く高くもっと高くにいる。
君にこの手が届くように。
今でもたまに思い出すんだ。
思い出すだけ悲しくなるって分かってるのに。
幼き日の君の手を握って。
花火を見に行った事。
はたから見ればやんちゃしてた僕を。
君は憧れだと言ってくれたね。
あれから10数年。
今でも受け止めきれない僕がいる。
今の僕を君が見たらガッカリするかな?
憧れのお兄ちゃんは。
ただ何も考えず突っ走ってた若かりし頃の僕で。
今は失う事ばっかりに怯えている僕。
一度だけ聞いてみたいよ。
高く高く空の上にいる君に。
弟として幸せでいてくれたかを。
僕達はいつから時間と言う枠に縛られ。
僕達はいつから社会と言う組織に縛られたのだろう。
忙しくなればなるほど。
僕達は心を無くした。
まるで働く機械だ。
何もなくても全てが楽しかった幼き日々。
今もあの時の子供のように笑えるだろうか。
無邪気で毎日が冒険だった。
あの時のように。
チャイムが学校に響き渡る。
あんなにうるさかったのが嘘のようにシーンとしている。
誰もいなくなった教室に。
1人きり。
今日はあの女の子がどんな話をしてたとか。
今日はあの男の子がどんな話をしてたとか。
思い出してはまた明日が楽しみになった。
放課後の教室もたまには居心地がいい。