【お祭り】
小さい頃は、お母さんとお父さんと弟と
家族4人でお祭りに行っていた。
がやがやと賑わった屋台だとか、何度も挑戦した金魚掬いだとか、お土産に買ったスーパーボールだとか、
そういった夏祭りの「思い出」は今でも心に残っている。
でも
コロナで機会が減ると同時に、
弟も私も成長し、家族で一緒にどこか行く、ということは減ってしまった。
「思い出」だからこそ良いというのに、
少しだけ、過去が羨ましくなってしまう。
だから
いつかまた、家族の新しい「思い出」を作りに行こう。
【願い事】 短編①
ある日、神様が舞い降りてきてこう言った。
「あなたの願いを一つだけ叶えましょう。何を望みますか。」
願い事、か。
なんでも叶うなら、欲しいものもなりたいものも、数えきれないほどある。
大金持ちになりたいとか、不老不死の身体が欲しいとか。
たった一つしか願いは叶わないのだから、よく考えて間違わないようにしないと。
そもそもなんで神様は、私なんかのところに降りてきたのだろう。もっと救いを求めている人はいると思うのに……
しばらく考えて、神様に聞かれた少女はこう答えた。
「願いはただ一つ。誰も悲しむ人がいない、平和な世界にしてください。」
その答えを聞いて、神様は驚いたように少女を見つめた。
しかし、言葉に嘘がないと分かると、やがて静かに
微笑んだ。
「願いは受けとりました。あなたのような人が増えて、早くそんな世界になるといいですね。」
【鳥籠】
大人になるということ。
それは広い広い大空に飛び立つということ。
まだ知らないことにたくさん出会って
自分一人で生きていくということ。
それが怖くて、少し寂しい。
私は今までずっと
「親」が作り上げた鳥籠の中で
大切に大切に
育てられてきたから。
鳥籠は窮屈なイメージもあるけれど
とても心地よくて、安心する。
だけど、それじゃいけないのだろう。
ならばもう少しだけ。このあたたかい鳥籠の中で。
【友情】
毎日毎日
みんなで支え合って
練習を積み重ねてきた
暑い夏の日も
寒い冬の日も
毎日毎日
お互いをカバーし合って
乗り切ってきた
大切な大会
私は結果がなかなか出せなくて
悔しくて悔しくて
そんな私に
「がんばってくれて、ありがとう」
そう言って励ましてくれた彼女。
もしいつか
彼女が悩んでいたのなら
今度は私が彼女を支えよう。