【願い事】 短編①
ある日、神様が舞い降りてきてこう言った。
「あなたの願いを一つだけ叶えましょう。何を望みますか。」
願い事、か。
なんでも叶うなら、欲しいものもなりたいものも、数えきれないほどある。
大金持ちになりたいとか、不老不死の身体が欲しいとか。
たった一つしか願いは叶わないのだから、よく考えて間違わないようにしないと。
そもそもなんで神様は、私なんかのところに降りてきたのだろう。もっと救いを求めている人はいると思うのに……
しばらく考えて、神様に聞かれた少女はこう答えた。
「願いはただ一つ。誰も悲しむ人がいない、平和な世界にしてください。」
その答えを聞いて、神様は驚いたように少女を見つめた。
しかし、言葉に嘘がないと分かると、やがて静かに
微笑んだ。
「願いは受けとりました。あなたのような人が増えて、早くそんな世界になるといいですね。」
7/27/2022, 10:59:21 PM