【お袋】
さぁっと降った突然の雨。
「勘弁してくれよ…」
そう言いながら俺はコンビニへ走った。“500円です”
そう書いてある傘を手に取った。ついでに腹が減ったので肉まんを頼み、レジへ行き会計。
「こちら、おふくろをお付けいたしますか?」
「は?」
お袋?お袋は2年前に事故で亡くなったはずだが…?
「ど、どうされましたか?」
「いや、お袋はいないですが…」
「え?」
店員はぽかーんとしている。
「え、いない、とは…?付けるかどうかをお聞きしているんですけど…。」
「はぇ?」
どういうことだ?お袋だよな…。
「あ、もしかして、お母さんの事と思っていましたか?」
「あ、はい…。」
「レジ袋の事です、」
「…」
あ〜、やっべ、、めっちゃ恥ずい勘違いした系だよな?あ〜視線が痛ぇ…。そりゃあ肉まん買ったら聞くよな。そうだよな。
「ごめんなさい、勘違いして…」
「いやいや!いいんですよ。はい、642円です、」
「じゃあ…」
「1042円からお預かりします。…400円のお返しです。ありがとうございました〜。ペコッ」
「…ペコッ」
あ、雨止んでる。傘いらなかったじゃん…。
「ま、いっか。」
【いじめられっ子の一筋の光】
雨雲の隙間からキラッと一筋の光が差し込んだ。そして、その隙間にいた人はその日光によって多くが助かった。これを人間関係で表すと、いじめられっ子に逃げ道が現れ、いじめっ子から逃れることができたと言うことだ。そういう意味でも、「一筋の光」は大切だと思う。
【人生どん底】
人生どん底の状態を考えてみてください。家族、お金、食べ物、仕事、衣服、住宅。これらが全て無くなって絶望していました。ある時、いつものように絶望していたらあなたに一筋の光が現れました。
それは__
「犯罪」あなたはやりますか?
【告白】
「僕、君のこと…」
僕はあの子のことが好きだ。でも、いつも手紙を送るが返事がこない。なので、直接言うことにした。
「好きです!付き合ってください!」
「…」
「…返事は?」
僕は、勇気を出して直接言ったよ?
「…僕の声、分かる?耳に届いてる?」
だから、だからさ、お願い、
「返事をしてよ…」
僕はあの子の仏壇の前で泣き崩れた。
【幸せだった家族】
私は、会社員1年目のルーキーだ。でも、私には一つ年上の玲と言う夫とまだ2歳手前の凪と言う息子がいた。私の会社はブラックな方だったが、大切な家族のおかげで乗り越えられた。“あの日”までは。
「ただいま〜ママが帰ったよ〜」
「…」
「あれ?ママだよ〜?凪〜?…寝てるのかな?」
いつもの凪だったらこの時間に寝ないけど疲れていたのかな、と思いあまり気にしなかった。けれど、私の前に現れないまま一時間、二時間、三時間と時間が刻々と過ぎていった。
ガチャ
「…ん?凪?いないの?」
さすがに…と思い寝室に行ったがいなかった。いると思った寝室にいなくて、私はパニックになった。
「凪〜!凪〜!いるなら返事して!」
「…」
「…どうしよう、とりあえず玲に連絡…って、え?」
連絡先を見た私は呆然と立ち尽くした。
「連絡先に、名前が無い…LINEは…?無い…。じゃあ、じゃあ…警察…?」
プルルル、プルルル
「はい、事件ですか?事故ですか?」
「事件です!」
「じゃあ〜〜〜〜〜。」
「〜〜〜〜、〜〜〜〜。」
「〜〜〜で、〜〜〜〜〜?」
「よろしくお願いします!」
「分かりました、すぐ向かいます。」
ひとまず一安心…と言う訳にはいかなかった。
キャーーーー!
ドンドンドンッ
「!?」
「誰か、いますか!?」
ガチャ
「はい!?お隣さん!?なんですか!?」
「そ、そこ…人が…!」
「え?」
チラッ
お隣さんが指を差した方を見ると、私の家の庭に二人が血を流して死んでいた。
「うわぁーーー!?玲、凪っ!?救急車っ!」
「は、はい!」
しばらくして救急車と警察が来て、取り調べをされた。
「…警察署に、ここの監視カメラの映像があるので、見ますか?」
「いいんですか!?よろしくお願いしますっ!」
「では…時間を巻き戻して…」
カチャカチャ
「…ここですね。」
そう言われて、パソコンの画面を見た私は絶句した。そこには__紛れもない私自身が写っていた。
「奥へ。」
「いや、私は、私はやって…!二人のことこれまでにないくらいに、愛してたのに…!」
「奥へ。」
「違う、私じゃない!離せっ!いや!こんなの嘘だ!違う、違う、違う!!」
「こちらの女性を動かなくするため、応援よろしくお願いします!」
「あぁああぁ!!!!!!!!!!!」
あれから三年後、今。私は刑務所の中で無いはずの罪を償わせられている。私は今でも信じてない。あそこの小さい隙間から見える夕焼け。あの頃と一緒。
「玲、凪?二人は、私のこと信じてくれるよね?」
【コーヒー】
「ん〜…」
さぁっ、と音を立てて木が揺れる。
「いくつになっても慣れないなぁ…(笑)やっぱコーヒーって苦い…。」
母さんは
「コーヒーがおいしいって分かったらもう、8割は大人じゃないかしら?」
って言ってたけど…。苦いよ、母さん。
「ふわぁ…」
俺が今いる公園には子供連れがちょこっといる…?ってくらいだ。今は午後五時。
「〜♪」
午後五時を知らせるチャイム。もう聞き慣れちゃったな。今は早いとこはご飯の準備かな…?
「んん、俺も会社に戻るかぁ、」
夕焼けに染まった俺の背中は自分でも分かるくらい哀愁を誘っていただろう。