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7/8/2024, 8:14:16 PM

今日はなんだか街に来たくなった。何故か、あの人がいる気がしたのだ。
いや、さすがに居ないよな…とは思いつつ、街をぶらぶらと歩いていた。
「あれ?麦じゃん!!ヤッホー!」
…居たな まさか直ぐに出くわすとは……。
「…ベンタさん」

道端で話すのもあれだし、ということで行きつけのカフェに入った。
「麦はどうしてここに来たの?」
「仕立て屋さんに行こうと思って。」
「へえ!じゃあ邪魔だったかな??」
……犬みたい。
「はい、正直に言えば。」
「ガーン!!!!」
「…ふっ」
やばい、笑みが溢れてくる…くふふっ
「…!」
「…コホン、兎に角…仕立て屋さんに行くので、これ飲み終わったらお会計させていただきます」
「エーー…もっとお話しようよ〜」
「急いでるので!」
そう言い私はカップに入っている珈琲を一気に飲む。
「…じゃあ、また」
「…!あぁ!またな!!」
ふっ、無いはずのしっぽが見えるなぁ。

すっかり街も暗くなったなぁ 昼間の明るい風景が一転し、綺麗だ。
お店の目に優しい灯りも綺麗だ…。
「あ、ねぇねぇ!君今一人?」
「……」
「おーい!無視〜?」
「…私ですか?」
「あ!やっと気づいてくれた〜!!そだよ!ね、俺と一緒にお茶しない?」
「はぁ、すみませんがこの後予定があるので…」
「えー!!そんなこと言わずにさぁ、俺とお茶しようよ〜」
執拗いなぁ しょうがない、1人でなんとかす…
「俺の彼女に何してんの?」
「「…は?」」
「ベ、ベンタ……?」
「今からこの子と俺はお茶するんで。じゃ」
「は?ちょっと待てよ!」
「え、あ、ちょ…」

「ふぅ、これで撒けたかな?」
「え、っと……… あ、ありがとうございます」
「どういたしまして!!アイツには何もされなかった?」
「は、はい…。」