「ごめんなさい……」
言葉がこぼれ落ちた。
「ごめんなさい…」
「ごめんなさい…」
なにに謝るわけでもない。
「ごめんなさい…」
「ごめんなさい…」
でもなにかに謝ってて
気がつけば言葉はわたしの周りにたくさん落ちて泉のように溜まっている。
それでもまだ
「ごめんなさい…」
言葉を落とす。
いつか蛇口が止まったら
そこは忘れられた泉になるから。
それまでは…
「落ちていく」
人生を過ごすのに、隣にいる人。
家庭という一つの箱に収まる。
箱というよりは船かもしれない。
よい事も、わるい事も、他人事ではなくいっしょにくらう。いっしょに乗り越える。
長い時間を隣で過ごし、同じ箱の中、近い目線で景色を見る。
できたらお互いをいたわり、思いやり、温かい感情を持てているのがいい。
その方が箱の中が心地のいいものになるだろうから。
「夫婦」
あなたに会うのは少しのスリル感じる。
あなたもわたしもお互いのこと、あまり知らない。
ハンドルネームの偽名で呼び合うわたし達。
また、会いましょう。
秋風に震える子猫みたいなわたし達。
ただ寂しくて、温もりを求めて寄り添うだけ。
また、はなればなれになって、それぞれの日常に帰っていく。
冬になったら
たくさんの想い出を語りながら
キャンドルに火を灯したりするのかしら。
クリスマス、
わたしは他に相手はいない。
あなたの方はどうなのだろう…。
寂しいのはいやで
でも宝物になるような想い出や形に残るものができるのもこわい。
だからお互いに動かないのかな。
どうすればいいの?
150作突破記念
「どうすればいいの?」
前回 11/12 140作目。
10作ごとぐらいにしている。
これまでのタイトルを並べて繋げたもの。
内容は続いていない。
インターバル的なもの。
宝物っていうのは特別なものかしら。
金銀財宝、海賊のお宝、昔話のお土産、特別な美しいものたち。
それともほんとはつまらないような、なんでもないような、日常だったりしないかしら。
なんでもない日常は、実はとても尊くて、美しいものたちでできている。
この世界がぶじに回って、人々が健康で、全ての生き物が生命をまっとうして、その中で自分は今日も息をして、ぶじにそれらを感受できている。
いのちのきらめき。
世界のきらめき。
わたしもその中の小さな一つのように、その中に埋もれる。
「宝物」
卵型のキャンドルの見る夢は、
中から雛鳥が出てくることだった。
でもそういえばてっぺんに謎に紐がついていたし、ずっと親鳥を見ないと思っていた。
親鳥を見ないから、もしかしたらこのまま雛が孵らず、腐ってしまうのかな。と。
なので、紐に火をつけられた時、驚いたし、動揺したけど、とろとろとてっぺんが溶け出し、自分が卵型のロウソクだったとやっと理解した時、雛鳥の心配をしなくてよかったことにほっとした。
そしてその火を、自分を、うれしそうに見てる人がいるから。
ほんとうに、ほんとうに、とてもよかったな。
と思った。
卵型のキャンドルには、雛鳥ではなかったけど、やっぱり中には温かくて、とてもすてきなものが入っていたんだね。
「キャンドル」