デートのプランを立てる。
季節の移り変わりや自然がすきな人だから、
山奥のワイナリーに行くことにした。
背の高い並木道を抜けると、葡萄畑が広がる。
ショップやカフェのある広場には、楓の木が何本も生えていて、赤、黄、緑の葉が日差しにきらきらと光る。
星型の葉っぱが降り落ちる。
そんな中、カフェでお茶をする。
葡萄畑を見渡せる、開放的なカフェ。
パンケーキのアイス添えとプリンを頼む。
パンケーキはスキレットパンケーキ。
いわゆるドイツ風パンケーキ、ダッチベイビーというやつ。
プリンはほんとはプヂン。
ブラジル風のプリン。
多国籍だな…
飲み物は紅茶とカフェオレ。
紅茶の茶葉は地元のものらしい。
葡萄畑と紅葉とスイーツと、
全てのものを紅茶の香りが繋ぐ。
「紅茶の香り」
言葉は、毒にも薬にもなる。
《純粋な愛の言葉》
〈用法〉
出し惜しみせずに、口にできる時には口にする。
〈効能〉
自信を与える。
口にした方もされた方も、多幸感を得られる。
「愛言葉」
こんにちは。
ぼくの友達の名前は
…名前は?
いつもそばにいたはずなのに名前がわからないなんて、
そんなこと、ある?
あれ?
そういえばこの子のこと、なんか知ってたっけ?
いつもぼくの隣でにこにこしてて、
話しかけるのはいつもぼくで…
そういえばこの子と会ったのはいつだった?
ずっといたはずなのに
なにも知らない
なにもわからない
「あーあ、気づいちゃった?」
思えばはじめて聞いたその子の声。
「じゃあ、おしまいだね。」
にたりと笑って消えてった。
「ぼくの…ともだちは…」
なんにもせずに消えてった。
これをぼくは喜ぶべき?
でもそれはぼくから友達が消えてなくなることで…
ぼくはこれをどう捉えたらいいんだろう。
「友達」
「行かないで。」
「行かないよ。」
微笑みながら地球とくるくるダンスを踊るお月さま。
ほんとは年3センチほどの間隔で離れていっているのを知っているの。
誠実なのか 薄情なのか。
「行かないで」
『ごめん。きょうは行けそうにない。』
携帯に届く。
日が傾いて薄黄色に染まった寝室で、わたしはそのメッセージをじっと見つめ
その後、まだ袋に入れられたままの、先週末に買ったピアスを取り出す。
半球状のガラス玉がついている。
ガラス玉は下の方で水色と薄青とに分かれていて、あの場所のようだと思って買ったのだ。
先週末の、あの人と行った旅行。
空と海とに分かれた景色。
ガラス玉を見つめながらどこまでも続く青い空を思い出す。
「どこまでも続く青い空」