料理とか掃除とか洗濯は練習したほうがいいよ。
あのね、何からしていいかわからなくなるから。
興味のあることはとりあえずやっておきなね。
え、スノボとかさ。
からかわれて嫌な思いしているのに笑っちゃだめだよ。
そう、そんなことしたって楽にはならないからさ。
あの時馬鹿どもの浅はかな誘いに乗らなかったのえらいよ。
うん、勇気出して断ったんだよね。
都会にもくだらない差別や悪口はあるよ。
あ、でも田舎よりはマシだね。
憧れのあの人のような恋人は出来ないよ。
でもね、とっても素晴らしい人に出会えるから。
はやくそこから出ておいで。
君のしあわせはそこにはないよ。
ここにある。未来にちゃんとあるからね。
あの頃の私へ
「先生、おかえりなさい。」
「ただいま。疲れた。」
「ご旅行はいかがでしたか。」
「悪くはなかった。まあ期待外れだったが。」
「左様ですか。では良いインスピレーションは浮かびましたか。」
「いやまたこれがさっぱりだ。慣れないことはするもんじゃないな。」
「左様ですか。しかし締め切りは変わりません。」
「わかってるよ。今日の19時だな。」
「あと5分です。」
「わかってるよ。急ぐさ。」
「あと4分。」
「オーケーオーケー!今出すよ!」
逃れられない
「明日晴れると良いね。おやすみ。」
「うん、おやすみ。」
「じゃあまたね。」
「また明日ね。」
「まあまあ、明日やるから。」
「もう。」
「うーん残念。」
「よければまた明日覗いてみてください。」
ぐるぐるする夜を越えよう。
嫌なことは明日が解決してくれるさ。
来るか来ないかわからない明日を信じて
では、
また明日
「透明って色じゃないよね。」
「そうだな。透明な色とは不思議な表現だ。」
「うん。でもさ、なんか嫌じゃないね。」
「ああ。少し特別な気がするな。」
「あの人を色に例えるなら?」
「はは、ではせーので言ってみようか。」
「うん。せーの…」
「こういう関係になってだいぶ経つけどさ、いまだにあの人のことは読めないんだよね。」
「そっか。そうかもね…。」
「全部さ、あの人をすり抜けて行く。僕の気持ちも思いも全て。」
「で、他の人にぶつかると。」
「やめろ。その通りだから。」
透明なふたり。すきとおって。
互いのことを見えないまま
この世でいちばん美しいひとと信じ
世界のはしっこで愛を分かちあう。
透明
あの人だったらこうしてくれるのに
あの人だったらこんなこと言わないのに。
気付いたら他の人と比べてしまう。
どんな俳優もアイドルもヒーローも
あなたには敵わない。
不思議ね。いつのまにか
あなたは私の理想の人になっていた。
世界でいちばん素敵なひと。
世界でいちばん大好きなひと。
理想のあなた