出かけるの?
ああ、数日間だが。少し遠くに。
ふぅん。
一緒に行くかい?
行く!
あれよあれよという間に決まった2人旅。
お互い早起きは苦手だが予定通りの電車に乗れた。
まだ頭が働かない所為もあり会話らしい会話は無い。
2人して何となく窓の外の景色を眺めている。
ね、帰って来れるよね。
ん?どうしたんだ。用事でも思い出したかい。
ちがう。なんか怖くなった。
鉄の箱が私達を見知った街から遠ざけていく。
普段街から出ることのないこの子には少し怖いものがあるのだろう。いや私にも覚えがあるかもしれない。
大丈夫だ。ちゃんと帰れるよ。今日行く街は大きい。
人も多いし娯楽に溢れている。食事も美味しいものやら映える?ものもある。気になるものがあれば言いなさい。奢りだぞ。
うーん。スマホ充電できるとこがいい。
そうか。では調べてみよう。
数日後の帰りたくないという君が目に見える。
遠くの街へ
いやはや随分とはしゃいじゃってまあ。
今回は何があったんだ。聞かないが。
そんなの金の無駄だやめたまえよと言いかけたが
どうせやめないのでそこはぐっと飲み込んだ。
クレーンが空を掴んだところで
さて次はどうすると聞けばあれ、と指をさす。
あれとはゾンビを撃つあれだ。
先に言うが足手まといになったらすまないな。
今のあれこれも過去や未来のどれそれも
ゾンビのようにこっちへやって来る。
奴らしぶといんだ。何度も何度も起き上がる。
何で私を襲うの。暇なのかよ。
こっちは忙しいんだっての。もう。
弾数無制限の銃で全てぶち抜いてやれれば良いのに。
ねえほら100円おごるからコンテニューして。
現実逃避
顔が見たい。
声が聞きたい。
いやもうメッセージ返してくれればそれでいい。
何をしているんだ。
面白い本でも見つけて夢中になっているのだろうか。
疲れてまた床で寝てないだろうな。
僕の知らない奴と外で遊んでいないよな。
なあ家に誰もいないよな。
なあ僕のこと忘れていないよな。
なあ知りたいよ
君は今
すり、と珍しくそちらから体を預けてきたので
これは…と期待が膨らみかけたがすぐに萎んだ。
そういうんじゃないよなあこれは。
嫌なことがあったのか体調が悪いのか
もしかしてそういう気分なのか
俺にはわからない。
天気は普通。悪くないはずだが妙に重い。
雨でも降るのだろうか。
頭が痛いから横になるよ。君もどう?
少し空気が軽くなった気がした。
当たり、ということで良いのだろう。
おやすみ。
物憂げな空
命に大きいも小さいも無いよ。
みんな平等。同じでしょ。
ははあ、そいつはお綺麗事だ。ごちそうさま。
全員を救うことなんか出来ない。わかってるだろ。
わかってる。わかってるけどわかっちゃだめなの。
優劣なんてつけるべきじゃ無い。だめなんだよ。
君がさっき叩き潰した虫にも命があっただろうに。
そういうとこ、意地悪いよ。
ううん?
小さな命