どうしたんだ急にこんな。
花を渡すのはそういえば初めてだ。
これはなんというかどんなプレゼントや言葉より気恥ずかしいかもしれない。
あれ、ひょっとして君もそう?
水を入れたグラスにうつされた赤いバラはこの部屋から少し浮いている。
うれしいよ。ありがとう。
今度はバラの花束を贈るよ。
100本以上のでかいやつ。
それは、ちょっと困りそうだな。
じゃあまずは7本だ。これで8本。
そのあとで100本。これで108本。
きっといつか近いうちに。
花束
スマイル0円とはよく言ったもので
その笑顔にはそこそこの金がかかっているんだ。
君の笑顔があればそれで良いと
その下心を捨ててから言ってみろ。
まあそれはそれとして
あんたがそんな顔で笑うから
そこそこの金額を奢ってしまうし。
あんたの笑顔が好きだから
その先を求めなくなってしまう。
馬鹿だな。人ってやつは。
スマイル
さあお好きにどうぞ。
顔でも首でも
見えるとこでも見えないとこでも。
君の好きな所に書くと良い。
自分の持ち物には名前を書けと教わらなかったのか。
無くしたくないものなら尚更。
安心しろ。私はもう君のものだ。怒ったりしない。
怖気付いたか。私を手に入れることが。
どうしてだ。私はそんなにお高くはないぞ。
変な子だ。そういうことは出来るくせに。
どこにも書けないこと
白くなり始めた空が薄暗い部屋を照らす。
しまった。起きてしまったのか。
人々の生活の営みも感じられないほど静かな時間の中
やかましいのはあんただけだ。
隣にあるぬくもりに逃げ込んだ。
優しい音。生きている証。
もう少し眠らせてくれ。
時計の針
君は変わった奴だな。
そうかい?
俺たちにはよくある会話だ。
こんな女のどこが可愛いんだ。生まれてこのかた言われたことが無い。
そりゃ見る目がない奴らだ。かわいそうに。
全てが可愛らしくて愛おしいよ。本当だ。
はあ。
君の目を、手を、髪を
笑った顔を、真剣な顔を、寝顔を
君を見ていると溢れてくるのさ。
溢れる気持ち