スマイル0円とはよく言ったもので
その笑顔にはそこそこの金がかかっているんだ。
君の笑顔があればそれで良いと
その下心を捨ててから言ってみろ。
まあそれはそれとして
あんたがそんな顔で笑うから
そこそこの金額を奢ってしまうし。
あんたの笑顔が好きだから
その先を求めなくなってしまう。
馬鹿だな。人ってやつは。
スマイル
さあお好きにどうぞ。
顔でも首でも
見えるとこでも見えないとこでも。
君の好きな所に書くと良い。
自分の持ち物には名前を書けと教わらなかったのか。
無くしたくないものなら尚更。
安心しろ。私はもう君のものだ。怒ったりしない。
怖気付いたか。私を手に入れることが。
どうしてだ。私はそんなにお高くはないぞ。
変な子だ。そういうことは出来るくせに。
どこにも書けないこと
白くなり始めた空が薄暗い部屋を照らす。
しまった。起きてしまったのか。
人々の生活の営みも感じられないほど静かな時間の中
やかましいのはあんただけだ。
隣にあるぬくもりに逃げ込んだ。
優しい音。生きている証。
もう少し眠らせてくれ。
時計の針
君は変わった奴だな。
そうかい?
俺たちにはよくある会話だ。
こんな女のどこが可愛いんだ。生まれてこのかた言われたことが無い。
そりゃ見る目がない奴らだ。かわいそうに。
全てが可愛らしくて愛おしいよ。本当だ。
はあ。
君の目を、手を、髪を
笑った顔を、真剣な顔を、寝顔を
君を見ていると溢れてくるのさ。
溢れる気持ち
ねえ初めてキスをした時のことを覚えているかい。
君はそんな昔のことは忘れたと言って照れ隠しにそっぽを向いた。
そうだな。俺たちは数えきれない時間を一緒に過ごしてきたからね。
君のことだ。たぶん覚えているんだろ。
でもごめん。それは本当の初めてじゃないんだ。
すやすや眠る君がたまらなく可愛かった。
好きがあふれ出して苦しくなった。
口に出してしまいそうだったからキスしたんだ。
あんなにどきどきした瞬間は後にも先にもきっと無いだろう。
唇を離したとき君のまぶたがふるえたように見えたのはきっと気のせいで。
答え合わせをする時きっとふたりは今よりもっと幸せなはずさ。
Kiss