朝日に照らされて光る雪景色を見ながら入る露天風呂は最高だ。見た目のやわらかさとは裏腹に体の芯まで突き刺してくる寒さから逃れるように、体をお湯の底に沈める。温泉特有のゆったりとした雰囲気の中で、自然そのままの景色を楽しみながら、自分だけの世界に耽る時間こそが何よりもの幸福だ。
冬の晴れが一番好きだ。お日様がポカポカさしてる見た目の暖かさとは裏腹に、外に出た瞬間体にピタッとまとわりつく冷気のギャップがなんともたまらない。
それに、絶対気のせいだろうけど、冬の晴れは雲のない青空であることが多い気がする。そうなると夕方の景色も最高だ。空のグラデーションがまっさらなキャンパスにそのまま映し出される。そしてそのまま海になんか行ったりしたら……水平線は掻き消えて、空も海もおんなじ色に染まる、たまに見える人影で、無くなっていた上下感覚を思い出す。それは筆舌に尽くし難い絶景だろう
海で初日の出を見た。早起きして片道一時間の電車に乗る。帰りが辛いだろうから行くかどうか迷っていたけど、日の出の時刻に見た景色にそんな葛藤をしていたことが馬鹿らしくなった。
「印象・日の出」、かつて時代を騒がせた名画が目の前に浮かんできた。太陽が昇る。眩く発光する淡いオレンジ色が黒く濁った水面を溶かしていき、打ち寄せる波は白く光っている。
夜明け前に慣れていた目が眩む。この神秘的な情景はきっと写真には収まりきらない。美しい日の出を写実的に描くのではなく、抽象的に描写したモネはそれを知っていたのだろうか。
ほのかにあつい肌に手を当てて、もしかしてこれは熱があるんじゃないかと期待する。休日に熱が出たら最悪だが、平日なら基本ハッピーだ。午前いっぱい休めば、午後は部屋でゴロゴロ幸せな時間を過ごせる。体温計もいつもよりヒンヤリしているように感じた。期待に胸ふくらませながら表示を見ると、37.3度。なんだ、これじゃ休めないなあ
きんきらのお日さまの下で、今日が雨だったらと考える。雨だったら、外に出なくてもいいのに。今日みたいな晴天の日は家の中に籠っていると、誰かに怒られているような気持ちになってしまう。