堕葉

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2/20/2024, 10:26:45 AM

#同情

「ねえ、どうしたの」
公園の隅で、顔を埋めた男の子を見つけた。
ゆっくりと顔を上げた彼は、涙で濡れた頬を上げて微笑んだ。
「同情ですか」
初めて会ったのに、同情も何もない。
返そうと思った言葉は、なぜか喉の奥に消えていった。
細められた目。その中に置かれた濡れた瞳に、言葉が飲み込まれてしまった。
大丈夫。ただそれだけ言うと、彼は再び顔を伏せ、少しも光を入れるまいと腕で顔を隠してしまった。
顔を隠すときに垣間見えた、悲しみに溢れる彼の顔。下がった眉に濡れた睫毛、噛み締めた下唇、顎に宿る涙の雫。
私は、見逃さなかった。

次の日も彼はそこにいた。
また、顔を埋めてそこにいた。
「ねえ、どうしたの」
彼は顔をゆっくりと持ち上げ、慎重に黒い瞳の標準を定める。
私は唾を飲み込んで、彼の瞳に視線を返した。
心に湧き上がるこの気持ちはなんと言うのだろうか。
「同情ですか」
そうだ、同情だ。そうに決まってる。