4/4/2024, 11:06:11 AM
"それでいいよ"
ふとそんな声が聞こえた
いつもどおりの朝食
トーストを作ろうと思い
どのジャムが良いかと悩む
『それでいいよ』
姉のそんな声が聞こえた
『オッケー』
俺はそんなふうに返事をし
トースターにパンを入れて
更にコーヒーを淹れる
『姉さん今日も仕事、頑張って』
『うん。ありがとう』
ねぇ、姉さん
俺知ってるよ
姉さんがそのジャム好きなの
だから俺が、そのジャム持つの
いつも待ってるでしょ?
だってそのジャムは
死んだ母さんと姉さんでよく作ってたから
だから好きなんでしょ?
死んでも変わんないんだね
あの日、事故に合って死んだ姉さん
いつもどおり、トーストを頬張って、仕事に向かった
筈なのに
横断歩道で暴走したトラックに轢かれて
だけど俺は毎日トーストを2枚作る
姉さんが側に居てくれてるから
俺が寂しくないように
いつも、『それでいいよ』って
言ってくれるんだよね
まったく過保護な姉だ
俺もこのジャム大好きだよ
だって、姉さんと母さんが作ったジャムだから
トーストが焼けた音がした
『いただきます』