僕らはいわゆる幼馴染だ。
そして、その幼馴染の実瑠は僕のことが好きだ。
そのことに気がついたのは小学5年生のころ。実瑠が教室で友達と話しているのを偶然聞いてしまった。
それから僕は実瑠(みる)のことを意識し始めた。
今まで全くそんなふうに見ていなかったのに不思議だ。
実瑠は僕のために日に日に可愛くなる。
そんな姿を見ていて愛おしかった。僕のために、可愛くなってくれる。
そんな考えをあれから5年もしているのだから、もう実瑠のことを好きになっていたのだと思う。
放課後、実瑠と一緒に帰る約束をしていた。
委員会が思ったより長引いてしまったが、実瑠は教室で待っているのだろう。そう思って、教室に向かうと中から声がした。
「実瑠は、いつまであいつのこと好きなわけ?いい加減別の男つかまえたら?」
「心配してくれてありがとう。でも、きっと、ずっと好きだと思う。もし、失恋したとしてもずっと好きでいるかも」
「あぁ、そっか、じゃあ、なにかされたらすぐに言いなさいよ」
「ありがとう。でも、或(ある)くんはひどいことしないよ?」
ああ、やっぱり愛おしい。僕は実瑠の言葉に心がはねた。
そのとき、階段の方から声が聞こえた。
「やっぱり、天野じゃね。あの健気な感じが刺さるわ。」
「でも、あいつ好きな人いるらしいぜ。」
「どうせ、大したやつじゃねえだろ。明日にでも告るかなー。」
胸の奥がざわりとした。お前らが実瑠のことを話すんじゃねえ。不快感が募った。
今にも飛び出しそうになったとき、急に、教室の扉が開いた。
「あれっ、或くんもう終わった?」
ビクリとした僕に、実瑠は心配そうに見つめてくる。
「ああ、遅くなって悪い」
「ううん、早紀ちゃんとお話してたから。大丈夫だよ。じゃあ、帰ろっか。」
さっきまでの荒立った気持ちは一瞬で落ち着いた。
だが、、、明日への不安は募るばかりだった。
結局、実瑠とは他愛もない雑談をして帰った。
それとなく聞いてみたが、明日誰かと話す予定はないらしい。
僕は、一つの覚悟を決めて眠りについた。
次の日、学校ついても普段と何一つ変わらなかった。
普段通り、授業を受けて、昼ご飯を食べて。このまま、今日が終わると思っていた。
お昼ごはんの最中、実瑠は「放課後予定が入ったから一緒に帰れない」と言った。
何の予定か、誰との予定かは何一つ教えてくれなかった。
放課後、僕は実瑠を探した。いつのまにか、いなくなっていたのだ。
昨日の出来事から察するに実瑠は告白を受けているのだろう。
何も気にすることはないのだが、今回は見逃せなかった。今回を逃したら、なぜか後悔すると感じていた。
校舎裏で実瑠を見つけた。昨日の男子生徒と話している。
何やら、楽しそうに話しているように見えて、僕は腹がたった。
「実瑠、帰るぞ。」
そう言い、実瑠の手を引いた。
実瑠は驚いた顔をしていて、男子学生が止めに来ようとしたが、一度睨むとすぐに離れていった。
「或くん、急にどうしたの?」
それに答えられず、そのまま歩いていった。
いつの間にかあたりは暗くなり始めていて、家の近くの公園についていた。
「さっき、何してたんだ?」
やっと、話した一言がこれだ。情けなくて仕方がなかった。
「えっと、、実は、さっき、告白。されたんだ。それで、断ったんだけど、趣味が似てるねって、話してて、ですね、、。」
言葉をつまらせながら、僕の顔色を伺いながら話す実瑠は泣きそうな目をしていた。
僕ははっとした。こんな顔をさせたかったわけじゃない。
「ごめん。勝手に引っぱってきて。実瑠が誰かに告白されてるって思ったら、なんか、体が勝手に、、。本当にごめん、、。」
しばらくの沈黙。とても長く感じた。でも、覚悟を決めるのには十分な長さだった。
「実瑠」
実瑠の目をまっすぐに見る。
「僕はずっと実瑠のことが好きだった。実瑠が僕のことを好きだってっことを知って。それから好きになった。実瑠は僕のためにどんどんかわいくなって、もし僕の気持ちがバレたら、もう僕のために可愛くなろうとしないと思って。そして、僕のことなんか飽きちゃうと思って。本当はずっと好きだった。」
一息で言った。まだ言いたいことがある。
「僕は実瑠のことが好きです。これからもずっと好きでいる。もし実瑠が僕のこと嫌いになってもずっと好きでいる。だから。」
息を吸い込んだ。
「僕と付き合ってくれませんか」
実瑠の目が大きく見開かれる。
「それって、、」
「僕の彼女になってくれませんか。」
実瑠は驚きと喜びの混ざった顔で言った。
「私は、或くんはずっと私に興味ないと思ってた。だから、私のことを見てほしくてずっと努力してきた。それでも駄目なら、この気持ちにずっと蓋をしようと思ってた。私は、或くんとずっと一緒にいたい。或くんにもっと好きになってもらえるようにずっと努力する。絶対に飽きたりしない。ずっと好き。だから、私は或くんの彼女になりたいです。」
最後の方は涙混じりの声だった。
「ありがとう。」
そう言って優しく抱きしめる。そうすると実瑠も力強く抱きしめてきた。
温かい体温が混ざり合い、二人の周りを柔らかな風が吹き抜けていった。
_ずっと隣で 3.14
幸せになる方法を
誰かを喜ばせる方法を
自分が笑顔になる方法を
こころが躍りだす方法を
_もっと知りたい 3.13
誰かが懸命に生きて
それを必死で追いかけて
破片を悼む
小さな花束を添えて手を合わせる
あなたはわたしのなかで生きています
_愛と平和 3.11
大好きな友達と遊んだ日
一生の別れを悲しんだ日
死ぬ気で勉強した日
嬉しくて涙を流した日
これまでの日々が今の私を形作る
過ぎ去った日々は今でも夢に見る
_過ぎ去った日々 3.10
陰が生まれる 明日はきっと
散りばめられた光の粒
雨のように降り注ぎ
世界が虹色になる
この夜は僕のもの
_月夜 3.7