【嗚呼】
嗚呼と言葉が漏れ出す時。その時にはきっと言葉ではなく心のような何かが漏れているんだろう。そうした漏れ出たナニカの数だけ、自分のアイディンティすらも見失って行く。気づけば空っぽになっているんだ。
空っぽになった体はどうなるんだって思うだろう。そうしたならば注いでやれば良いと。
人間というのはそうして漏れて足して、漏れて足して。そうしたバランスで成り立っているのだから。注ぎすぎては零れてしまう。そこに良いも悪いもない。バランスの問題なのだから。
音の存在しない部屋。それがここなんだ。
まるで水滴が垂れて小さな波が届いても、何もなかったかのように振る舞う水辺のような部屋。
それがここだ。不思議に思うかもしれないけど。そう思うこと自体かこの部屋の存在感を表してるかもしれない。
そんな部屋で転んだとしてもどこにも届かない。音がないから。寝転んでも何も起こらない。音がないから。そうして色んなことを試しても無駄だろう。音がないからだ。
気づくことはできるだろうか。きっとできる。
ドアを開ければね。
【未来】
追いかけて追いかけられて、僕にしかみえない青写真を手のひらで広げる。
どこに行こうかと悩んでるうちにいつのまにか取り残されて、それでもその手がかりを辿っていく。
2度3度見失うことがあるかもしれない。それでも掴んでいた熱を帯びた気持ちを忘れられない。すでに無くしたはずの地図を持っているふりをして、今日も迷い続ける。
いつのまにか、知らない場所まで届いてももはや、僕にはそれが正解かはわからない。だからこそ僕はこれでよかったのだと、欺瞞に満ちた表情を取り替えて、今日も歩く。例えその先が求めていた場所だろうとなかろうと僕には判断する術がないのだから。
【狭い部屋】
目の前にドアがある。ここは狭い部屋の一室だった。
まるで箱の中にいる。小さい箱の中に。
一つ一つ開けて外に出る。そこにはまたドアがある。
また箱を開ける。繰り返し開ける。
その度に部屋は少し大きくなっていく。
外に出たいと自由が欲しいと、何回開けたかはわからないが諦めずに開けていく。
気づけばそこは途方もなく広い部屋の中だった。
どれだけあけても箱からは出ることはできなかった。
【失恋】
楽しくて甘酸っぱくて辛くて苦くて、悲しくてしょっぱくてそれでいて懐かしい味。
だけど食べたくないと横に置く。
ずっと無味無臭な塊だけがずっとそこにある。
いつかまた食べられるかなと口に当てるけど今日も食べれない。