君が隠した鍵
君は逝ってしまったね
僕の大切なもの 少しずつポケットに
入れたまま
プラモデルの最後のピース
思い出ボックスの綺麗な貴石
2人で撮った最初の写真
2人の 2人だけの指輪の片割れ…
悪戯っぽそうな君の笑顔が浮かぶ
「こっちに来ないと、返してあげないよ!」って
僕の心も 薄っすら欠けたまま
君のいない世界でも今日を生き抜くよ
手放した時間
人生の岐路、とまではいかなくても
ティータイムは珈琲?紅茶?それともナシ?
通勤は今日は家まで歩く?
それとも疲れたからバス?
それによって出会うものが変わり、
時間や手間を断捨離したことに
なるんだろう。
手放した時間の代償に、
豊かな心の時間迄無くさぬように。
エンデの「モモ」はおしえてくれる。
紅の記憶
母の血とともに、
産み落とされた記憶。
青紫色
チアノーゼ の様相を
呈(てい)していた肌が、
産声とともにさっと赤みを増す。
産まれたばかりの私を、
抱きしめる母の眼は
血管が切れて紅い。
バースデーケーキに灯る、火。
「産まれてきてくれて、ありがとう」
に込められた、紅の記憶。
吹き抜ける風
あの時.
校庭で迷子になっていた一陣の風。
-又三郎の眷属?-
無事、主(あるじ)をみつけて、
パタゴニアの平原あたりを
今はともに吹き渡っているだろうか?
私の中に吹く風
私を解放せよ.
伽藍堂(がらんどう)の私を
吹いて吹いて吹き捲れ.
まって
「まって、まってよう」
あなたはみるもの全てを魅了する笑顔を
私だけにむけながら
息せき切って懇願した
「いいや、ここまでおいでよう」
私は振り向いて おどけて言った
あなたがついてくるのを確認して
幸せなカップル 誰がみても
そのまま2人は土手をはしりつづけ
いつしか あなたは私に追いつく
はずだった
2人の距離は開き あなたはついても来ない
私だけ汗みどろで
あなたは冷ややかな眼をして
いつのまにか生まれた 赤ん坊を撫でている
冷ややかな眼をして
冷ややかな…