ことり、

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8/30/2024, 3:45:01 AM

言葉はいらない、ただ…


私は言葉が欲しかった。
愛してるよ
可愛いね
お前が1番大事
お前は望まれて生まれてきたんだよ
時にはハグを
時には手を繋いで
優しい眼差し
微笑み
そのどれも
与えられなかった。

私はカンの良い
可愛いくない子供だったから
与えられない と悟るや
求めもしなかった。

思う
幼いあの頃
足で大地を踏んで
両手を握りしめ 
肩を戦慄(わなな)かせ
まなじりには涙さえ浮かべ
なんで私を放っておくの⁉︎
私を見てよ!
そう訴えれば何か変わったのか と

わからない
わからないが ただ 今
幼い私を切なく思う
愛おしく思う

8/26/2024, 6:14:46 AM

向かい合わせ


カンバセーションチェアという椅子がある。
2人もしくは3人が座れ、其々が互いの顔を見ずに会話が楽しめるいう。

ヴィクトリアン時代の後期に製作されたカンバセーションチェア。その名の通り、当時の高級サロンなどに使用され、訪れた客人達がおしゃべりを愉しんだ、らしい。ネットより引用。

昔何かのスパイ映画で、効果的に使われていたような気がする。


また、ヘッジホッグスジレンマという言葉がある。寒さに震える2匹のヤマアラシが
暖め合おうと近づくが、近づき過ぎると
お互いの体のとげが刺さって痛い。
しかし、離れ過ぎると寒い。

つまり、人は近づきすぎると傷つけ合ってしまう。 また、傷つけ合うことを恐れて距離を置きすぎると、今度は疎遠になりすぎて
仲良くなることができないという意味、
らしい。引用。

それを踏まえて。

我が家の炊飯器のしゃもじ立ては、
炊飯器にくっついて向かって右側にあり、
しゃもじの窪んだ面を内側に、
炊飯器と向かい合って立てると収まらず、
窪んだ面を外側に、そっぽを向いて立てるとうまく収まる。

そこで思い出す。
カンバセーションチェア。
ヘッジホッグスジレンマ。

ひとはひとと向かい合う時、
それくらいの距離感がちょうどいいのかも
しれない。

西日の当たるキッチンで、
しゃもじを見つめて思うこと。夏の日。

8/22/2024, 5:24:32 AM

鳥のように


鳥のように、自由に。
よく言われる

鳥だって自由ではない
クリッピング 風切羽を切られ
籠の中で一生を終える鳥もいる

どちらを選ぶ?
まだあなたは選べる立場にいる

風切羽を切られたって
生え変われば飛べる

籠の鍵を持っているのも自分
外の世界を決めつけているのも自分
さあ
「翔べ」


8/20/2024, 12:29:02 PM

さよならを言う前に


低く滾(たぎ)るSE
物語の始まる前
観客はまだ仮面を付けて
演者は籠(かご)の中

一瞬の静寂
暗転
観客は仮面をかなぐり捨て絶叫
演者はそれぞれの翼をはためかせ
七色の空を飛ぶ

そして
その時は来る
夢の終わりが
さよなら
そう告げるより
残された時間一秒ごと
愛し合おう

8/20/2024, 4:12:06 AM

空模様

振動を肌で感じる
立ち上がる水のにおい
パタ パタパタと小人の足音
洗濯物を取り込む主婦たち
ラジオに混ざるノイズ

熱帯の海で生まれた
雷雲が押し合いへし合いして
極東のこの地にやってきた
緑たちは喜ぶが
人間たちは青くなる

浴びたい
本当は
雷雲のパワーを
風を
雨を
この体いっぱいに!

流石にそれはできなくて
安全な鉄筋コンクリートの中で
夢想しながら
ひっそりと
詩を書いている

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